「歌と劇:プロフェシー」

10. さびれたデパートの外

モオルダアがテロを警戒して警備中

ばあや入場


ばあや : おい、おまえ。おまえが優秀なエフ・ビー・エルか?

モオルダア : なんですか?ボクは優秀なエフ・ビー・エルじゃなくてエフ・ビー・エルの優秀な捜査官ですけど。

ばあや : どうでもいいのだが、優秀なエフ・ビー・エルなら話があるからこちらにくるのだ。

モオルダア : ボクはいまテロの警備中なんです。持ち場を離れるわけにはいきません。

ばあや : そんなことはどうでもいい。あばかれなくてはならない陰謀があるのだ。

モオルダア : 陰謀ですか!

ばあや : そうじゃ。陰謀じゃ。さあ、こちらへ来るのだ。

モオルダア、ばあや退場

11. さびれたデパートの外(別の場所)

通行人1:イヌを連れて立っている

スケアリー入場


スケアリー : ちょいと、それ何なんですの?

通行人1 : 何がです?

スケアリー : そのイヌですわよ!何で尻尾が迷路になっているんですの?

通行人1 : 可愛いでしょ、この子。セレブの間で大人気の尻尾が迷路になっているイヌですよ。血統書もあるんですよ。

スケアリー : そうじゃなくて、そんな不吉なイヌは早くどこかへ連れて行きなさい。ここは今特別警戒地域になっているのですから、デパートのお客様とイベントに来たお客様以外は立ち入り禁止なんですのよ。

通行人1 : 私はこのデパートに買い物にきたお客様ですよ。

スケアリー : そのイヌはどうなさるんですの?

通行人1 : この子はおとなしいからここにつないでおけば大丈夫。滅多に吠えたりしないからね。この子は禁煙の練習をするネコが現れない限り大丈夫ですよ。

スケアリー : 何なんですの、その禁煙の練習をするネコっていうのは?

通行人1 : それだけおとなしい、ってことの例えですよ。それじゃあ、私は早く買い物をすませて帰らないと妻に怒られますので、これで失礼しますよ。

スケアリー : ちょいと、お待ちなさい!…行ってしまいましたわね。でもこのおとなしいワンちゃんが災いを起こすはずはないですわね。よく見たらかわいいイヌだこと。…あらまあ、よしよし。イヌというのはあたくしみたいな良い人間の本質を見抜いてこうやってなついてくれるからステキですわね。