5. さびれたデパートの中
[ばあや、アティラーノン入場]
ばあや : これで明日のイベントの準備は万端でございますな、姫様。
アティラーノン : そうね。でもさっきの人は「夢みた人」ではなかったわ。
ばあや : 運命の人にはそう簡単に巡り会えるものではございませぬ。
アティラーノン : なんだか心配になってくるわ。本当に現れるのかしら?
ばあや : 島に伝わる伝説をそう簡単に疑うものではございませんよ、姫様。
アティラーノン : そうね、ばあや。会えたら良いのですけど…。
[ばあや、アティラーノン退場]
[エキストラ1(清掃員),エキストラ2(清掃員)入場]
エキストラ1 : なあ知ってる?
エキストラ2 : 知らないよ!
エキストラ1 : そうじゃなくてさ。ボクの知り合いにゲームが大好きな人がいてさ。子供が出来たら絶対にトゥームレイダーって名前にするって言ってるんだよ。
エキストラ2 : なんだそれ?普通は登場人物の名前とかつけるだろ?
エキストラ1 : まあ、そうだけどね。ボクに聞いても知らないよ。でもトゥームレイダーって言ったらアンジョリージョリーナだよな!
エキストラ2 : 誰だよそれ!?
[エキストラ1、エキストラ2退場!]
[ニコラス刑事入場]
ニコラス刑事 : ここがイベントの責任者がいるという部屋か。それにしてもこの建物は思っていた以上に古いな。それに床がホコリだらけだ。ちゃんと掃除をしているのだろうか?こんな場所でイベントをやろうなんて、アティラーノン姫という人は何を考えているのだろう。いや、アティラーノン姫が自ら進んでここを選んだのではなくて、このデパートの誰かが彼女を呼んだのだとしたら、このデパートの人間にも気を付けた方が良いのかも知れない。とにかく警察に警備を依頼してくるほどのことだ。気を抜いてはいけない。
警察のほうから来ました、ニコラス刑事です。失礼します!
[ニコラス刑事退場]
[予言者入場]
予言者 : どうやら私の思い描いたとおり事は運んでいるようですねえ。予言とは人々がそれに従うだけ。神の意志も運命の力もそこにはありません。人々は予言を聞いた時からその予言にあるような行動をとってしまうのです。何か行動を起こす時に必要なものはちょっとした道しるべなのです。それがなければ人々は道に迷う。私の予言に従って羊たちもこの国へやって来たようだ。きっと私の予言は現実のものになりますよ。そして私は全てを手に入れるのです。