「歌と劇:プロフェシー」

2. FBLビルディング

スケアリー入場


スケアリー[歌] : おめかしなんて、必要ないわ

     扉の向こう、誰もいないの

     だけどそれでは、あんまりですわ

     背後霊にも、エチケット!


スケアリー : まったく、ヒマすぎてイヤになってしまいますわ。いつになったらあたくしの才能を発揮できる難事件が起こるのかしら。最近は遺体の解剖もしていませんし。こんなことでは腕がナマってしまいますわ。ちょいとモオルダア!モオルダア!…あら、いないのかしら?まったくあの人もどうしようもない人ですわ。こういう時にはヘンな事件を見つけてくるに違いありませんわ。それで「これがエイリアンの仕業だとは思わないか?」とか言うに違いありませんわ。もうウンザリですのよ。


ノックの音


スケアリー : どなたかしら?あたくし今は事件の捜査で忙しいんですのよ。


ばあや入場


ばあや : 忙しいところまことに申し訳ねえですが。あなた様方が優秀なエフ・ビー・エルだと聞いてやってまいりました次第で。どうか、このばあやの願いを聞いてもらえねえだろうか?

スケアリー : あたくし達はエフ・ビー・エルではなくてエフ・ビー・エルの捜査官ですのよ。でも優秀なことには変わりありませんけど。どうぞ入っていらして。

ばあや : 面目ないです。

スケアリー : それで、どういったご用件かしら?

ばあや : はい。ワタスのお仕えしているエニホエアという国のドコデーモス王様の娘様のアティラーノン姫のことでございます。

スケアリー : …何のことだか解りませんわ?それはどこの国ですの?

ばあや : エニホエアという国のドコデーモス王様の娘様のアティラーノン姫が日本に来るので日本のことでございます。

スケアリー : あたくしの聞いたのはそういうことではないのですが。まあ良いですわ。そのアティラーノン姫という方のことですわね。

ばあや : そうでございます。アティラーノン姫がお忍びで日本へやって来て、あるデパートでイベントをやるのでございます。

スケアリー : イベントって何ですの?

ばあや : ご自慢の歌を披露するのでございます。

スケアリー : それはデパートのイベントらしいイベントですけれども。それがどうしたというんですの?

ばあや : 姫様が日本にいる間、あなた方に姫様を災いからお守りしていただきたいのでございます。こういうことなら、あなた方以外に出来る人はいないと警察の方から聞いてここへまいったのでございます。どうか、お引き受け願えないだろうか?

スケアリー : 普通、そういうことは警備会社がやるものですけれど。

ばあや : 予言による災いは並みの人間には防ぎきれないものでございます。それでワタスは警察にお願いに上がったのでございますが、そこでニコラスというお方から「そういうことならうってつけの人たちがいる」とあなた方を紹介されたのでございます。

スケアリー : ニコラスですって?!それは若い人でした?

ばあや : はい。それはもう若くて男らしい青年でしたよ。ウヒヒヒヒィ…。

スケアリー : それなら、引き受けるしかなさそうですわね。…ところでモオルダアはどこにいるのかしら?面倒なことはモオルダアにまかせて、あたくしは事態を把握するためにニコラス刑事様に連絡を取るべきですわ。

ばあや : それでは、お引き受けしていただけるのですね。これでばあやも一安心でございます。姫様はもうすぐにこちらにお着きになられる。お頼みもうしたぞ。ウヒヒヒヒィ…。


ばあや退場


スケアリー : ウフフッ。ウフフフッ。まったくニコラス刑事様ったら、あたくしのことが気になってしかたがないんですわね。それだから、ことあるごとにこうしてあたくし達を頼って来たりするんですわ。ウフフフッ!


スケアリー[歌] : 出会った時から気づいてたでしょ

     知らないふりして気を引いたでしょ?

     夢みるファンタジー

     きらめくディスタニー

     ウ・フ・フ・フ、ララララーラー

     ウ・フ・フ・フ、ララララーア〜


モオルダア入場


モオルダア : ど、どうしたの?

スケアリー : あらイヤだ!部屋に入るはノックぐらいしたらどうなんですの?

モオルダア : いやあ、色々と考えることがあってねえ。キミが来ているとは気付かなかったから。

スケアリー : あら、あなたも物を考えることがあるんですのね。そんなことよりもあたくし達にはやることが出来たんですから、あなたはすぐにどこかの国のなんとかというお姫様を迎えに行って護衛をしなくてはいけませんわよ。

モオルダア : なんだそれ?どこかのなんとかじゃ全然解らないけど。それよりもボクはもっと重要な事件を捜査中なんだ。その何とかのどうとかは警備会社にやらせるべきだよ。

スケアリー : そうじゃなくて、警察があたくし達を頼りにしているんだから、こっちが優先に決まっていますわ!

モオルダア : そんなことはないと思うけどね、ボクはテロを未然に防ぐために大忙しなんだぜ。

スケアリー : テロって、あの爆弾とかそういうテロですの?そんなことをあなたが捜査できるはずはありませんわ。

モオルダア : 普通はそうだけどね、今回の場合はちょっと特殊だしね。でもこれは明らかに誰かがテロ行為を企てているに違いないんだ。規模は小さいといえ、そんな警護をやっている間にテロが起こってしまったら、救えるかも知れない命も救えなくなってしまうからね。

スケアリー : それは、大変なことですわ!


スケアリー[歌] : ジレンマだーわ〜!


モオルダア : なんでさっきから歌うんだ?

スケアリー : 今回はそういう設定なんですのよ!あなたもそのうち歌わされるわよ。

モオルダア : それは勘弁してほしいなあ。ボクはそういうノリには一番向いてないと思うんだが。


Exeunt