3. ドコデーモス宮殿の一室
予言者 : うーむ、これは一大事ですぞ。自体は急速に悪い方へと進んでいる。
ドチラーノン : まあ、なんということでしょう。一体何があの子を危険に陥れようとしているのです?
予言者 : ウーン…、ウーン…。見えてきたぞ。イヌだ。尻尾が迷路になっているイヌに気を付けるのだ。
ドチラーノン : イヌですって!?それはどういうことです?この島にはイヌは一匹もいないはず。
予言者 : そう、そのとおり。この島にいる限り姫様は安全なのです。遺伝的にイヌ恐怖症のこの島の住人によってイヌは一匹残らず処分されましたからね。しかし運命の歯車は尻尾が迷路になっているイヌによってあらぬ方向へと回り始めているのです。
ドチラーノン : まさかあの子がこの島を離れて日本へ行くとでも言うの?
予言者 : ことによると姫様はもうすでにこの島を発たれているかも知れません。
ドチラーノン : それはあり得ませんわよ。この島を出るには島に三機しかない飛行機を使わないといけませんもの、そんなことをすればすぐにでも…
[ドコデーモス入場]
ドコデーモス : おお、ここにいたか。ちょっと聞きたいのだが、飛行機が二台見当たらないんだ。どこかで見なかったかの?
ドチラーノン : キョエェェェー!
ドチラーノン[陰鬱な歌] : 牢獄、監獄、猛毒、サソリ!
災い、船酔い、あの子に迫る
ドコデーモス : いったいどうしたというんだ?
ドチラーノン : あなた!あなたがあの子を甘やかすからいけないんですよ!あの子が島を離れて日本へ向かっているのよ。
ドコデーモス : なんだって?
ドコデーモス[歌] : そいつは大変だー!
予言者 : 王様、わざわざ歌で驚くことでもありません。ここは私にまかせてくれませんか。
ドコデーモス : おまえはあの子を救う手だてを知っているというのか?
予言者 : 出来る限りのことはしてみるつもりでございます。ただし一つ条件があります。
ドコデーモス : 条件とは?
予言者[歌] : 謎の男、未来を知る
彼の望む、ものは何か?
金銀財宝、それとも名誉
それとも、黒い髪の娘
ドコデーモス : だから何なんだ?
ドチラーノン : あの子が危険にさらされているというのに、そんなことは関係ないじゃないですか。早くあの子を助けないと。
ドコデーモス : それもそうだな。それで予言者よ。どうすればいいのだ。
予言者 : 残った飛行機で日本にまいりましょう。そして尻尾が迷路になっているイヌをくい止めましょう。
ドコデーモス : ずいぶんと解りやすいんだな。それで、その尻尾が迷路になっているイヌというのは何だ?
予言者 : 未来とはうつろうもの。尻尾が迷路になっているイヌも明確ではございません。ただし、その気配を感じることが出来るのなら尻尾が迷路になっているイヌをくい止めることも可能なのです。
ドチラーノン : さあ、そうと決まったら早速出発の準備をしなくては。
ドコデーモス、ドチラーノン、予言者[歌] :
お姫様を助けに行くぞ
異国の地まで
お姫様の向かった先は
島国、日本
(ドコデーモス)どうしていつもお転婆ばかり
(ドチラーノン)それはあなたが甘やかすから
(予言者)いえいえ、それは運命の仕業
お姫様を助けに行くぞ
異国の地まで
お姫様の向かった先は
島国、日本
[Exeunt]