「歌と劇:プロフェシー」

1. 南方の小さな島国

アティラーノン入場


アティラーノン[歌] : プリンセス、エニホウェア!

     南国のお姫様!

     南の島の、お姫様!

     プリンセス、エニホウェア!


アティラーノン : ああ、なんてステキな朝なのかしら!今日は南風がこんなに爽やか。これはきっと良いことが起こる前触れに違いないわ!お父様!お父様ー!

沈黙

アティラーノン : ヘンねえ。お父様はどこへいったのかしら?きっとまたお酒を飲み過ぎて寝坊しているんだわ!まったく駄目な王様だこと!こう言う時はどうしたらいいのか、あたしはちゃんと知っているのよ!こういう時はお父様が起きて来るまで歌えばいいのよ!


アティラーノン[歌] : ウソでしょ、マジなの?お魚ダンス

     迷路にはまって、目が回る

     アー、恋をするのよ、見知らぬ国で

     アー、夢みた人は…


ドコデーモス入場


ドコデーモス : おやおや、ずいぶんと上機嫌じゃないか。何か良いことでもあったのかな?

アティラーノン : あら、おはようございます、お父様。今日はとっても良いことが起こる予感がするのよ。きっとあたしの願いが叶うに違いないわ!

ドコデーモス : またその話かね。おまえも仕方がないなあ。何度も言っているようにおまえのお母様があれだけ反対しているんだ。そう簡単にはいかないよ。

アティラーノン : ですから、お父様からもお母様によく言って聞かせて欲しいのよ。あの国はとても安全なところなんですから。

ドコデーモス : その日本という国では何があるんだ?

アティラーノン : 未来の王様が…ステキな王子さまと出会えるのよ!

ドコデーモス : そうは言ってもねえ…


ドチラーノン入場


ドチラーノン[陰鬱な歌] : 煉獄、灼熱、地の果て、ハルマゲド〜ン!


アティラーノン : どうなさいましたの、お母様?

ドチラーノン : 許しません!あの国にいけば必ずや災いが起こるのです。決してあの国には…あの薄汚い毒ガスにまみれた監獄のような国へ行ってはいけません。

アティラーノン : それはまたずいぶんな言いぐさですわ。何度も言っているように日本はお母様が思っているようなところではないのよ。それなのにお母様はあの予言者の言うことばかり信じて、あたしのことは少しも聞いてくれないんだから。

ドチラーノン : なりません!おまえが何と言おうと、この国のため、そしておまえのためにも、あそこへいくことは許されないのです!

ドコデーモス : まあまあ、そういわずに。あの子があんなに行きたがっているというのに、どうして…

ドチラーノン : なりません!誰が何と言おうと許しませんからね。


ドチラーノン退場


ドコデーモス : ちょっと待ちなさい。あの子のことも少しは考えてあげなければ…


ドチラーノン退場


アティラーノン : ハァ…。どうしてお母様はいつもあんな感じなのかしら。このままでは「夢みた人」にはいつまでもめぐり合えないわ。


アティラーノン[歌] : 思いは募る、人は悲しみ

     移ろいでゆく 時に埋もれる

     もしも、空を飛べたら

     広い、世界に一人

     あなたの元へ焦がれる

     気持ち伝えられるのに…


アティラーノン : もうこうなったら実力行使でいくしかないわ!…ばあや!ばあや!


アティラーノン退場