14. イベント会場の控え室
[アティラーノンが会場の様子をうかがっている]
[ばあや入場]
アティラーノン : ばあや。どこへ行っていたの?もうすぐに始まるのよ。
ばあや : ばあやは姫様のために大忙しでございます。それにしても、思ったよりも人が集まっておるようだ。
アティラーノン : そうなのよ。これじゃあ、どの人が「夢みた人」だかわからないわ。
ばあや : そう、心配なさらずとも。エニホエアの神々はきっと二人に運命の出会いをもたらしてくれましょうぞ。
アティラーノン : そうね。そうだと良いわね。でも、この人だかり。なんだか悪い予感がするの。誰かが無理矢理に人を集めて来たんじゃないかしら。
[エキストラ4(イベントの係員)入場]
エキストラ4 : アティラーノンさん。そろそろ本番ですので、準備をお願いします。
アティラーノン : ああ、とうとう始まるのね。ばあやもしっかり見守っててちょうだいね。
ばあや : ええ、姫様。しっかりと見届けさせてもらいますよ。
[アティラーノン退場]
[ばあや、タバコに火を点ける]
ばあや : タバコでも吸わないと落ち着いていられませぬわ。こんなものを吸っていなければ、こんなにそわそわすることもなかったのかと思うと、これはちと皮肉な話ですがな。しかし、やめようにもやめられんのがいけないところじゃ。
[予言者入場]
予言者 : おやおや、またそんなものを吸って。王様にバレたらどうするんですか?
ばあや : 現れおったな、予言者め。何をたくらんでいるのかしらんが伝説によって決められた運命を変えることが出来ないことぐらい、予言者ならわかっておるだろう。
予言者 : 残念ながら私は運命などというものは信じていないのですよ。私は運命を利用するのです。そうすることで私はここまで成功することが出来たのですよ。そして、私は望んだもの全てを手に入れることが出来るのです。
ばあや : だが日本の警察も優秀なエフ・ビー・エルも、そしてこのワタスがいる前で、おまえに何が出来るというのだ?
予言者 : 果たしてそうでしょうかねえ?エフ・ビー・エルは私の流した偽の情報に踊らされて、ここにはほとんどいませんよ。それに、日本の警察はこんなところに人を集められるほどヒマじゃないようです。それから、ここに集まっている客のほとんどが私が集めたテロリストだということには気付いていましたか?
ばあや : なに。おまえは姫様に何をするつもりじゃ?
予言者 : 姫様には何も起こりませんよ。私が警察にも止められないテロリストから姫様を守ってさしあげるのですから。それで私は王様から私の望むものをいただけるのです。
ばあや : 何という卑劣な男!今すぐイベントは中止しなければ!
予言者 : あっ、待ってください。私がただであなたにこれだけのことを教えると思っているのですか?あなたの吸っているそのタバコですが。私は予言者の能力を使ってあなたがどれだけ危険な人物かあらかじめ知っていましたからね。そのタバコにちょっと細工をしておきましたよ。そろそろ効き目が現れる頃だと思いますが。
ばあや : なんということを!ああ、これはどうしたということだ。体中から毛が生えて来るではないか!うう、目眩がする。誰か。誰か助けておくれ!
[ばあや退場]
予言者 : これで邪魔者はいなくなった。それでは最後の仕上げにとりかかるとしようか。
[予言者退場]