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#196 「根源」 2021-12-24 (Fri)

分析

 テレビではCMが始まると思いきや、スポンサーの紹介画面となってしまい、その文字の向こうで女子アナ達の大乱闘が映し出されています。これは異様な光景ですが、この少し前からLittle Mustapha達のいる部屋でも異変が起きていました。

 コマリタは小刻みに首を左右に動かしたりしていたかと思ったら、また勝手に喋りだしたのです。


コマリタ-----緊急警告。不快指数急上昇。ウンサーレベル、クリティカル。これよりコマリタは緊急待避いたしまぁす!


 そういうと、コマリタは一瞬だけ残像を残して、その場から消えてしまいました。


Dr. ムスタファ-----な、なんだ?テレポートか?

ミドル・ムスタファ-----またウンサーって言ってましたが。

Little Mustapha-----さっきもウッチーが怒ってたけど。やっぱりウンサーはアナウンサーと関係してるのかな。

マイクロ・ムスタファ-----そうじゃないでしょうか。私はさっきから気になっていたのですけど。あのコマリタをどこかで見たことがあるような気がしていたのです。それでさっきいくつか質問してみたのですが。あれは多分、以前アナウンサーの内屁端が作ったアンドロイドのアナウンサーなんですよ。

Little Mustapha-----そんなの良く覚えてるね。確かにいつもの女子アナみたいな喋り方をするけどね。でもコマリタはコマリタって感じだけど。


(一応個書いておくと、アンパンことアンドロイドのアナウンサーに関する記事は#177 「レザレクション」#182 「スピンオフ」です。)


ニヒル・ムスタファ-----でも、そうだとしても何が問題なんだ?

マイクロ・ムスタファ-----それは解りません。ただ内屁端アナが怒ることによって、あのコマリタには異常が発生するようです。


 納得ですが、それが解っても意味があるのか解らないというような話でもありました。すると彼らの近くにある悪魔デバイス・ポータブルから声が聞こえてきました。それはサンタの孫娘さんの声のようです。


サンタの孫娘-----よし、上手くいった。今回は時間が稼げそうです。

Little Mustapha-----あ、サンタの孫娘さん。一体何が起きてるの?

サンタの孫娘-----そこにいたアンドロイドは内屁端アナが作ったものでした。いってみれば彼女の分身みたいなものだったのです。以前そのアンドロイドが何者かによって異次元に連れ去られて、今またこの世界に戻ってきているんです。

マイクロ・ムスタファ-----やっぱりそうでしたか。でも、内屁端アナが怒っただけであれだけ不安定になるものでしょうか?

サンタの孫娘-----実はそこにもちゃんと原因があったのです。かつて異次元世界や地獄のような場所へ行ったことのある人物を我々は常に監視しているんですが、その中の一人、元女子アナで今はウッチーのリコール社で女子アナをしている横屁端という人。彼女が一年前ぐらいから女子アナの亜毛屁端と密かに接触していたのです。接触がある度に亜毛屁端アナは人気者になっていきました。詳しく調べたところ、彼女はウンサーと引き替えに人気を得ていたのです。

ニヒル・ムスタファ-----なんだか悪魔と取引って感じだな。

サンタの孫娘-----横屁端はアンパンに足りなかったウンサーを亜毛屁端のウンサーで補ったんです。

ミドル・ムスタファ-----それじゃあ、黒幕は横屁端ってことなんですか?

サンタの孫娘-----いいえ。もっと大きな組織が後ろにあるはずです。

Little Mustapha-----ところで、ウンサーってなんだ?って感じだよね。女子アナっぽさってこと?でもアンドロイドやデジタル・アシスタントにそんなものは必要ないし。

サンタの孫娘-----ウンサーっていうのは。これは誰でも少しは持っている物なのですが、まれに強いウンサーの持ち主が現れることもあります。それはある種のエネルギーというか…。人の都合の良いように動くための力とでもいいましょうか。

Little Mustapha-----なんだ、それ?…まあイイか。それよりも、もっと大事な事があるような気もするけど。

サンタの孫娘-----そうでしたね。調べてみて色々なことが解りました。敵は私達が気付かないところで巧妙に計画を実行していたようです。まずは、その悪魔デバイス・ポータブルといっている装置ですが。中身は悪魔デバイスに似ていて、さっきテレビをつけられたのも、その機械を遠隔操作できたからです。でもその機械の特殊なところは、五つ集まることによって大きなエネルギーを発生させられるところです。通常ならそのような大がかりな機械があれば私達が発見するのですが、五つに分かれていたのでエネルギーが分散されて発見出来なかったのです。

Dr. ムスタファ-----じゃあ、今は大きなエネルギーが発生しているってことか?そんな様子はないけどな。

サンタの孫娘-----今はまだです。何かのきっかけで動き出すはずです。次にあなた達がいるその場所に関してです。実は以前からLittle Mustaphaの見る夢に関する調査は行われていたのです。

Little Mustapha-----なにそれ?まさか人の夢を覗き見てるってこと?

サンタの孫娘-----それは違いますが、敵は似たような事をしていたかも知れません。以前から定期的にLittle Mustaphaの家に向かって夢のデータが送信されていることが明らかになっていました。それは電波のよな状態で送受信されるのですが。その内容を分析すると、全ては同じ家のデータだったのです。そのデータが送られるとLittle Mustaphaがその家の夢を見るのです。

Dr. ムスタファ-----それは興味深い話だな。

Little Mustapha-----以前っていうのは、ボクが子供の頃からってことなの?この家の夢は子供の頃から見てたよ。

サンタの孫娘-----そうです。彼らの興味は時間や時限といったものですが、研究も進んでいます。小さなデータだったら過去に送ることも出来るでしょう。

Little Mustapha-----でも、そんなことをしてどうするんだ?

サンタの孫娘-----目的は夢を見させることではなくて、見た夢を分析することだったのです。最初に送られた不完全な家のデータを元にあなたが夢を見ると、家の細部が明確になっていきます。そのあなたが見た夢を分析することによって、夢の中の家は見る度に現実的になっていくのです。そして、そのデータを元にすれば、今あなた達のいるような夢の中とソックリの家を作ることが出来るのです。

マイクロ・ムスタファ-----しかし、問題はトイレという事になりそうですね。私の知る限りLittle Mustaphaの部屋は汚くても、トイレなどとなるとけっこう潔癖性なところがありますから。

サンタの孫娘-----そうなのです。あれは私達がやったことです。まず敵の狙いがなんなのか?を考えました。それは恐らく、夢の中の家をLittle Mustaphaに本物の家だと信じさせることです。そうすることでその家のトイレの扉は本物のトイレの扉になる。

Little Mustapha-----つまり、いつもその誰だか解らない悪人達が欲しがってる、あの異次元につながっている扉をここに作ろうってことなの?

サンタの孫娘-----そうです。ですから私達は夢のデータをハッキングしてトイレだけを、絶対に使いたくないトイレと入れ替えておいたのです。

ニヒル・ムスタファ-----なるほどな。まあ色々と説明は付いたんだが、オレ達はこれからどうなるんだ?


 ニヒル・ムスタファが聞きましたが、サンタの孫娘さんからの返事には少し間がありました。なんとなくイヤな予感がしてきました。