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#196 「根源」 2021-12-24 (Fri)

罠?

 Little Mustapha達はしばらくコマリタが出ていった方を眺めていましたが、「まあイイか」と思ってまたパーティーの続きを始めようとしました。するとその時、どこからともなくガリガリという音が聞こえてきました。

 Little Mustapha達が音の出所を探していると、それはどうやら各自の悪魔デバイス・ポータブルから聞こえて来ているようでした。


ニヒル・ムスタファ-----これ、なんか音がしてないか?

Little Mustapha-----なんだろう?何かした方が良いかも知れないけど。でも、これって下手に動かすと何が起こるか解らないからなあ。

ミドル・ムスタファ-----プレゼントを貰うのに必要になる機械なんでしょ?なんか放っておくのは気が気でないですよ。


 Little Mustaphaが悪魔デバイス・ポータブルに付いているいくつかのスイッチを動かしてみるべきか悩んでいたところ、悪魔デバイス・ポータブルが勝手に動作して、ガリガリという音が次第に明瞭な何かの音に聞こえて来ました。それは誰かが喋っている声でした。その声の主が明らかになってくると同時に画面にもその姿が見えてきました。


悪魔デバイス・ポータブル-----やっとつながったんだワン!

Little Mustapha-----あっ、犬サンタ君だ。というか、何でタキシードなの?

犬サンタ-----今回は犬ボンド・ジェームズ・ボンド君なんだワン!ジャーキーは混ぜないでシェイクして欲しいんだワン!

Little Mustapha-----なんだそれ?!

犬サンタ-----でも面倒だから犬サンタで良いんだワン。それに時間もないし、後ろにいる弟子の木工用に関しては割愛するんだワン。

Little Mustapha-----時間がないって、確かに12時は近づいて来ているけど。そこって悪夢の中のボクの部屋でしょ?でもボクらは助けてもらって、すでに現実の部屋にいるから大丈夫だよ。その辺の連絡はついてなかったみたいだね。

犬サンタ-----何を言ってるのかワン?今回はスパイだから忍び込んでみたら、誰もいなくてマズい事になってると思ったんだワン!痕跡を辿って、みなさんのいる場所はだいたい解っても謎のアンドロイドがいるし、迂闊に連絡できなかったんだワン。でもあのアンドロイドがいなくなったすきに連絡出来て良かったんだワン。

Little Mustapha-----でもサンタの孫娘さん達がボクらに悪魔デバイス・ポータブルを送ってくれて、それで悪夢の部屋から抜け出すことが出来たんだよ。

犬サンタ-----それは全然違うんだワン。悪魔デバイス・ポータブルなんて知らないんだワン。きっとタダのパチモンだワン。今すぐそこから出るんだワン!

Little Mustapha-----なんで?せっかく助けてくれたのに。それに、そんな面倒な事しなくても悪魔デバイス・ポータブルを使えば瞬間で移動できちゃうじゃん。

犬サンタ-----夢の世界の話が出てくると言うことは大変マズい状況なんだワン。


その時、彼らの会話を遮るように別の声が聞こえて来ました。


悪魔デバイス・ポータブル-----状況は最悪なようね。犬サンタちゃんはこの通信の記録を調べて、みんなの居場所を特定して。あとは私が話すから。

Little Mustapha-----あ、この声はサンタの孫娘さんだ!

サンタの孫娘-----挨拶しているヒマはないから良く聞いてください。あなた達は罠にはまったのです。いや、私達全員がですね。こんな事になってしまってすいません。今からどう対処するか考えないといけないのですが。あなた達は絶対にあのアンドロイドの言うことを聞いてはいけません。

Little Mustapha-----あのアンドロイドって、コマリタのことだよね?あれは言ってみればボクが作ったものの未来版だから、変な事はしないと思うんだけど。…あっ、ちょっとまって。この通信って、悪夢の世界からの攻撃なんじゃないの?犬サンタ君やサンタの孫娘さんの声や姿を利用してボクらを危険な場所に誘い出そうってやつだよ。

サンタの孫娘-----こんな時に、そんな下らない事を思い付くのやめてください!他の皆さんも良いですか?絶対にあのアンドロイドの言うことは聞かないで。

ミドル・ムスタファ-----あっ、あの。コマリタさん帰ってきたみたいですよ。

サンタの孫娘-----良いですか、絶対ですよ。それにこの通信のことも知られないようにしてください。

 サンタの孫娘との通信が終わるとすぐにコマリタが部屋に戻ってきました。このコマリタが何者なのか?いや、どんなアンドロイドなのかが解らなくなってしまったので、部屋の中はなんとなくソワソワした雰囲気になっていました。

 コマリタは部屋の中を見回していましたが、そんな雰囲気までも察知することは出来ないので、黙ったまま、なんでもない存在のようにそこに佇んでいました。