夢と現実
本当のLittle Mustaphaの家などというものが登場して、いつもとは違った雰囲気で始まったクリスマスパーティーでしたが、酒が入ると主要メンバー達はだんだんいつもの調子になってきました。
酒があれば場所はどこでも関係ないようです。
Dr. ムスタファ-----ということでな。透明人間になるリスクを考慮すると、やはり幽体離脱を推奨する事にも正当性が出てくるってことだな。
ニヒル・ムスタファ-----現実の家で夢のような科学だな。
Dr. ムスタファ-----科学はいつだって科学だ。
Little Mustapha-----でも幽体っていうのは水に濡れると溶けるんじゃなかったの?だったら透明人間の方が安全だよ。でも透明人間が水に浸かったらそこにいるのがバレるけど。
ミドル・ムスタファ-----それって何をしようとしているんですか?
Little Mustapha-----何、ってこともないけどね。ガッハッハ!
ミドル・ムスタファ-----オヤジな笑い方で誤魔化さないでくださいよ。
Dr. ムスタファ-----オヤジな笑い方といったら、ガハハハハじゃないのか?科学的に。
ニヒル・ムスタファ-----そんな定義はどうでもイイだろう。
Little Mustapha-----まあ、その前にオヤジの定義を決めないといけないからね。
マイクロ・ムスタファ-----…あの、ちょっと良いでしょうか?
Little Mustapha-----ほら、下らない話をしてたらマイクロ・ムスタファが何かに気付いてしまったかもよ
。
ニヒル・ムスタファ-----だいだい、オレ達はいつも下らない話しかしてないけどな。
Little Mustapha-----まあ、何があってもこの家なら大丈夫。
マイクロ・ムスタファ-----それは解りませんが。この家に関しては、それ自体が謎という気もするので、部屋の中にあるもので何かが変だったとしても、気付くのは難しいでしょう。それよりも、私が言いたかったのは、プレゼントは大丈夫なのかということです。
ミドル・ムスタファ-----そうですよね。Little Mustaphaが今回は大丈夫って言うからなんとなく安心してしまったんですけど。サンタはこの場所にプレゼントを持ってくるんですか?
Little Mustapha-----それは…持ってくるんじゃない?ボクが悪夢の中でサンタにプレゼントのリクエストを送ったということは、こっちでもリクエストを送ってるはずだし。でも、こういう時にはなんでも確認してみないとね。オッケー、コマリタ!
コマリタ-----はい、こちら現場のコマリタです!皆さんここがどこだか解りますかぁ?
ニヒル・ムスタファ-----現場って言ってるんだから、現場だろ。
コマリタ-----残念。正解はクリスマス・パーティーが開かれているLittle Mustaphaの部屋なのです!
Dr. ムスタファ-----なんか、そのクイズは絶対に当たらないようになってるんじゃないか?
ミドル・ムスタファ-----それはどうでもイイですけど。プレゼントは大丈夫なのか聞かないと。
Little Mustapha-----そうだよ。コマリタ、今日はここにサンタはやって来るの?
コマリタ-----検索中…。受理されたリクエストのデータの中に主要メンバー全員の名前が見つかりました。日付が変わって12月25日になればサンタはやって来るでしょう。
Little Mustapha-----やっぱり悪夢じゃないと情報も確実だよね。
ミドル・ムスタファ-----念のために他のことも確認した方が良いんじゃないですか?
Little Mustapha-----他って?
ミドル・ムスタファ-----超常現象みたいなのとか、モンスターが街に現れてボクらを襲いに来たりとか。そういうのは大丈夫なんですか?
コマリタ-----実際に起こった現象で科学によって説明出来ないものは私の時代ではほとんどありません。この時代には少しだけ残っていますが、そういう現象が今日この街で起こることはないでしょう。モンスターに関しては、これまでそのようなものが現れたという報告はありません。それ以外のタイムリーな情報はテレビでニュースを見て確認するのが良いでしょう。
Little Mustapha-----現実世界は良いねえ。あり得ないことはあり得ない、って。そんな当たり前の事が当たり前なんだから。
マイクロ・ムスタファ-----しかし、なぜか腑に落ちない感じがします。気のせいなら良いのですが。
Little Mustapha-----まあ、心配ならテレビでニュースを確認したら良いんだよ。…あれ、リモコンはどこだ?
ミドル・ムスタファ-----テレビの前にありますよ。
Little Mustapha-----なんでこんな解りづらいところにあるんだ。リモコンはちゃんと「目の前にあると気付かないという場所」に置いておかないと。その辺はダメなんだな、こっちの家は。それじゃ、テレビをピッ!
今回は最初に色々とあって時間が経っていたので、テレビをつけるといつものニュースはすでに終わっていて、そのあとのクリスマス特番がすでに始まっているようでした。
しかし、ここのテレビは映りが悪くてかなりノイズの入った映像になっていました。
テレビ(内屁端)-----今年もいよいよ始まりました!夕方のニュース・クリスマス特番!皆さん、ここがどこだか解りますかぁ?…。はい、違います!今年もクリスマス・マーケットにやって来たと見せかけて、クリスマス・マーケットをパクった、クリスマス・マーケットっぽいイベントの会場にやって来ているのです!このあとCMを挟んで、腹パンと二人で会場の様子を紹介していきたいと思いまぁす!さらに、今日は特別ゲストが来てくれるということですが。私もまだ誰が来るのか知らされていません。今からドキドキしますね。それでは、CMのあと中継開始でぇす。
テレビ(CM)-----つらい肩のこりにスターウォーズコラボ。目の疲れにもスターウォーズコラボ。腰、膝、あらゆる関節の痛みにもスターウォーズコラボ。でもスパイダーマンは付いてない…。スパイダーマン詐欺が増えています。知らないスターウォーズコラボを見つけたらスパイダーマン詐欺かも知れません。くれぐれもご注意ください。
Little Mustapha-----理想的な楽しいクリスマスって感じだね。
ミドル・ムスタファ-----なんかミョーにアナウンサーのテンションが高かったですけど。あれもこの現実の家のせいなのでしょうか?
Little Mustapha-----それは違うと思うよ。悪夢の中にいたのはボクらだけだと思うし。
Dr. ムスタファ-----しかし、映像がザラザラで見づらかったぞ。地デジになってないんじゃないか?
Little Mustapha-----それも違うよ。世の中で起きたことっていうのはだいたい一緒なはずだし。この家と悪夢の家で何が違うのか?っていうと…。何なんだろう?ああ、コマリタ!
コマリタ-----質問は何でしょうか?
Little Mustapha-----ボクらには悪夢の中の記憶しかないんだけど。現実世界の記憶ってどうなってるの?
コマリタ-----あなた達の場合は、悪夢の世界と現実世界が同時に進んでいました。本来ならば目覚めれば夢の世界はそこで一度途切れるのですが、そうならなかった場合は夢の中の記憶が現実世界の記憶を消してしまうことがあるようです。普通の人が夢の内容を思い出せない時のように、あなた達は現実世界の記憶を思い出せないかも知れません。しかし、夢の内容が日常を反映したものだとするのなら、そこでの出来事は大差ないので気にすることはありません。
ミドル・ムスタファ-----なんだか怖くなるような話ですね。
マイクロ・ムスタファ-----でも待ってください。私達が夢の中でクリスマスのプレゼントが貰えなかったのは、現実世界でも貰えなかったから、ってことでしょうか?
コマリタ-----確認します。検索中…。過去のプレゼント・リクエストに関するデータを調べたところ、今年より前にあなた達の名前は見つかりませんでした。
Little Mustapha-----じゃあ、プレゼントを貰おうとしてなかったってこと?そんなことがあり得るの?
ニヒル・ムスタファ-----これは夢の本質ってやつじゃないか?現実世界のオレ達は、大人になってサンタからプレゼントをもらおうなんて恥ずかしいと思ってたんだ。でも夢の中ではその秘めた思いが行動になって表れる。
Little Mustapha-----じゃあ、みんなで集まって恥ずかしい事を平気でやってたのか…。でも現実の世界ではリクエストしてないんだし、貰えるワケもない。それはそれで悪夢だなあ。
Dr. ムスタファ-----でも、ここでプレゼントが貰えるんだし、来年からはそんなこともしなくて良くなるんだろ。それで科学的にも全ての問題が解決だな。
どのように科学的なのかは解りませんが、一つの疑問に曖昧ではあるものの答えが出たので、Little Mustapha達はまたダラダラと飲み始めました。