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#148 「in Gloom」 2012-12-21 (Fri)

クリスマス 最近いつも 別世界


 Little Mustaphaも戻ってきて、いつものように適当な感じで元に戻れてしまうのか、と思いきや元の世界に戻るのはそう簡単ではありませんでした。しかも、元の世界に戻ることが出来ていたマイクロ・ムスタファまでもがまた絶望の荒野に戻ってきてしまって、事態は良くなりそうにありません。

 犬サンタ君の提案でマイクロ・ムスタファが元の世界の様子を話すことになったのですが、これは上手くいくのでしょうか?とにかくマイクロ・ムスタファの話を聞いてみましょう。

マイクロ・ムスタファ-----あの、始めに言っておきますけど、これは話さない方が良いことかも知れません。

Little Mustapha-----なんだ、それは?それじゃあ聞かない方がいいのかな?

犬サンタ-----でもクリスマスなんだワン!みんな楽しく過ごしているに違いないんだワン!

マイクロ・ムスタファ-----まあ、そうですね。私から見たら悲惨なことかも知れないですが、普通の人はアレが楽しいのかも知れない。でも私はそのせいでちょくちょくコッチの世界に戻ってきたりしていたのですが。とにかく話した方がいいですね。

Little Mustapha-----そんな前振りをされると聞かずにはいられないし。ホントは喋りたいんでしょ?

マイクロ・ムスタファ-----そんなことはないですが。私が最初に元の世界に戻った時のことですが、私はそこが本当に元の世界なのかどうか、確信が持てませんでした。そこで、みなさんがいつもやっているようにテレビをつけてみたのです。これまでの経験からしてもそこがいつもの世界かどうかを知るにはテレビを見るのが一番の方法でしたからね。

Little Mustapha-----そうしたら、そこはいつもの世界じゃなかったとか?それで絶望とかだと、それはちょっと恐ろしいけど。

マイクロ・ムスタファ-----まあ、待ってください。それはなかったのです。そこはいつもの世界でした。そして相も変わらずクリスマスに浮かれ、そしてくだらないことに大騒ぎ。特に悲しいのが、あの最新技術を使っているという愚かしい発明品の数々でした。

ニヒル・ムスタファ-----先生がいるのにそんなことを言っちゃいけないぜ。

Dr. ムスタファ-----私のは最新技術だが、少しも愚かしいことなんてないぞ。私の発明を評価しない世間は、それは愚かしいものの集まりと言えるがな。

マイクロ・ムスタファ-----それはどうでも良いのですが。私はテレビを見ていると、それは我々にとって、そして、我々を取り巻く環境にとって、さらにはこの地球やそこを取り巻く宇宙全体にとって何の意味があるのか?と疑問に思い、その都度私は絶望していたのです。こんなことではいずれ人類は何かとてつもない…[未完]


ミドル・ムスタファ-----えーと。また未完のようですが。どうやらマイクロ・ムスタファの話を聞いても良いことはなかったようなのですが。

犬サンタ-----そのようだったんだワン。人それぞれ、ということを忘れていたんだワン。人間というのは難しいものだワン。今日はクリスマスイブだから誰でも楽しい日だと思っていたんだワン。

ミドル・ムスタファ-----それよりもマイクロ・ムスタファの話を聞いて思い出したのですが、今回はテレビを見たり、留守番電話を確認したりしてませんよね。

ニヒル・ムスタファ-----そいうえば、そうだな。絶望してたから忘れてたが。

Little Mustapha-----そういうことなら、まず確認するけど、留守番電話には変化無し。ということはあとはテレビか。ちょっと点けてくれる?

ミドル・ムスタファ-----点けるって言っても、リモコンはコッチにありませんよ。

Little Mustapha-----そこの「目の前にあると気づかないという場所」にあるじゃん。

ミドル・ムスタファ-----ええ?!どこですか?

Little Mustapha-----もう良いよ。自分で取るから。

ミドル・ムスタファ-----あら?そんなところにあったんですか?というか、絶望の荒野でもこの部屋は散らかりすぎていてどこに何があるか解らないんですよ。

Little Mustapha-----そうじゃなくて「目の前にあると気づかないという場所」にしまってあるんだって。

ニヒル・ムスタファ-----それはどうでも良いからテレビをつけたらどうなんだ。

Little Mustapha-----そうなんだけど、リモコンを押しても全然反応しないんだけど。

冷子-----それって、電池切れなんじゃないのか?ってことだけど。

Little Mustapha-----ああ、そうか。…というか電池の予備がないんだけど。これじゃあテレビがつけられないじゃん!

一同-----ええ?!それはまさに絶望的状況!


Little Mustapha-----ということだけど。どうしようか?

ミドル・ムスタファ-----どうしようか、じゃないですよ。

冷子-----やっぱりここじゃ絶望的なことしか起きないんじゃないか?ってことだけど。うーん…。

犬サンタ-----気にしちゃいけないんだワン!気にすると後ろ向きになるんだワン!

ニヒル・ムスタファ-----でも、どうするんだ?もうやることが無くなってきてないか?

Dr. ムスタファ-----まあ、酒でも飲んで時間を潰したらいいだろ。

ミドル・ムスタファ-----でも、これって「絶望の酒」なんですよ。

Little Mustapha-----えっ?!それまだあったのか。ボクはまだ飲んでないんだけど。

ミドル・ムスタファ-----ちょっと、飲まないでくださいよ。あなたは酒と聞くと何でも飲もうとするから。でもそれを飲むと絶望するからダメですよ。

Little Mustapha-----まあ、そうなのか。しかたないな。でも最近は飲まないでも眠れるようになったし、大丈夫だよ。

ニヒル・ムスタファ-----というか、前は飲まないと寝られなかったのかよ。

Little Mustapha-----言ってみれば、ってことだけど。

ニヒル・ムスタファ-----何が「言ってみれば」なんだよ。まあ、どうでも良いけどな。

 だんだんグダグダになってきました。そして、いつものようにグダグダしながら過ごしていると、もう別に元の世界に戻らないでも良いんじゃね?とか思ってしまいそうになります。しかし、それは間違っています。今はわずかばかりの希望が残っているために彼らは前向きになっているのですが、全ての希望を使い果たすと彼らの思考は絶望に支配されてしまうでしょう。もしかすると全員で絶望の淵を目指すなどという最悪の結末さえ考えられるのです。

 ただし絶望の荒野であってもそこはブラックホール・スタジオ。いつでも変なことが起きます。ダラダラし始めた彼らの前に新たな人物が登場します。それはなぜか絶望しているニコラス刑事でした。

ニコラス刑事-----ああ、なんてことだ。皆はいずこへ…。…あれ?!なんだ、みんないるんじゃないか!そうだよな。やっぱりクリスマスはみんなd…


ミドル・ムスタファ-----なんですか今の?

ニヒル・ムスタファ-----ニコラス刑事だったみたいだが。消えちゃったな。

ミドル・ムスタファ-----と、思ったらまた出てきましたよ。


ニコラス刑事-----ああ、私は絶望のあまり幻覚を見ていたのか…。いや、これは現実?!今目の前にいるキミ達は本物なのか?いつものようにパーティーをしているのか!なんだ、ビックリさせて…


ニヒル・ムスタファ-----そしてまた消えた。

Little Mustapha-----つまり、いつものように呼ばれてもいないのにボクらのところにやって来たけど、誰もいないのでガッカリだった、ってことなんじゃない?

ニヒル・ムスタファ-----ガッカリしたぐらいで絶望ってことはないだろう?

ミドル・ムスタファ-----でも、ここに現れたということはそういうことに違いないですよ。

Dr. ムスタファ-----よっぽど寂しがり屋なんだな。

ニヒル・ムスタファ-----だったら、毎回呼ばれてないってことに絶望して欲しいよな。

Little Mustapha-----でも呼ばれてないのにやって来て、誰もいないと絶望ってところがちょっとジワジワ来る面白さ。

冷子-----ちょっと、そういうふうに笑いものにするのは良くないんじゃないか?ってことだけど。フヒュヒュヒュヒュ…!

犬サンタ-----自分だって笑ってるんだワン!

ミドル・ムスタファ-----でもあの表情見ました?まさしく世界の終わりみたいな。

ニヒル・ムスタファ-----呼ばれてないのにな。

Little Mustapha-----そしてボクらを見た時の嬉しそうな顔とか。

Dr. ムスタファ-----呼ばれてないんだがな。

一同-----フヒュヒュヒュヒュ!フヒュヒュヒュヒュ!

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