holicRSSFeed

#148 「in Gloom」 2012-12-21 (Fri)

クリスマス 最後はいつも このパターン


 現実世界に戻ってきてもいつものように外では何かの騒動が起きているようです。そして、それらは最終的にLittle Mustapha達に被害をもたらそうとしているようにも感じられました。とりあえず、それが本当なのか。Little Mustaphaがテレビをつけて情報収集をすることにしました。

スタジオのキャスター-----それではここでもう一度現場の内屁端アナを呼んでみたいと思います。ウッチー?!

内屁端-----…はい。おはようございます…。こちらは現場のウッチーでございます…。

スタジオのキャスター-----あの、まだ夜ですけど。それにどうしてそんなにヒソヒソ声で喋るのでしょうか?

内屁端-----はい。それは失礼しました…。しかし、これにはワケがあるのです。ヒソヒソ喋る時にはどうしても「おはようございます」という台詞が出てきてしまうのです。

スタジオのキャスター-----寝起きどっきり、というヤツですね。それはどうでも良いのですが、どうして声を潜めているのか?ということの方が重要なのですが。

内屁端-----そうなのです。みなさん…ここがどこだか解りますかぁ…?

スタジオのキャスター-----廃墟のようなところに見えますが。

内屁端-----正確には…ほんの数分前に廃墟と化したビルの中なのです。

スタジオのキャスター-----いったい何が起きたのでしょうか?

内屁端-----実は、先程まで街を破壊していた暴徒達ですが…あれからさらにパワーアップしたのです…。

スタジオのキャスター-----パワーアップですか?!

内屁端-----そうなのです。ただ力が強くなっただけではなくて、外見も人間とは違うものになっていたのです。普通の人間では考えられないような場所に、異常な量の筋肉がついたり…。そして、腕が鞭や棍棒のような武器と化している人もいたようです…。

スタジオのキャスター-----ほ、本当ですか?!

内屁端-----私がウソをつくはずがありません…!現にこの廃墟も先程までは綺麗なオフィスビルだったのですが、暴徒達の襲撃にあってこのような状態になっているのです。…しかも、素手で全てを破壊したのです。

スタジオのキャスター-----ウッチー達はどのようにして暴徒から逃れることが出来たのでしょうか?

内屁端-----それはですねえ。始めはウッチー率いる精鋭部隊が応戦していたのですが、次第に劣勢になっているのを見て取った私が退却を命令しました。これはウッチーの大失態で、この退却の命令は遅すぎたかと思われたのですが、そこへまた別の勢力が現れたのです。彼らもまた人間には見えなかったのですが、近くにいた部隊からの報告によると、それは筋骨隆々のトナカイのような人間のような生き物だったという事なのです。それはともかく、その新たな勢力がモンスター化した暴徒達と戦っているすきに、ウッチーの部隊はこのビルに逃げ込むことが出来たのです。

スタジオのキャスター-----そうですか。最後の方は熱がこもってヒソヒソ声じゃなくなっていましたが、気をつけてくださいね。

内屁端-----あっ!?はい。…おはようございます。…続けて要注意でリポートを続けたいとおもいまぁす…。


スタジオのキャスター-----スタジオには今回の騒動の原因ではないか、といわれているスマート食品の開発元であるベンチャー企業の社長、勉治屋(ベンチヤ)社長にお越しいただいております。どうぞよろしく。

勉治屋-----よろしくどうぞ。

スタジオのキャスター-----まず最初にお聞きしたいのは、今回の騒動の原因と言われているスマート食品なのですが、実際にそれが原因だということは考えられるのでしょうか。

勉治屋-----そうですねえ。スマート食品を使うのにはまず会員登録が必要なのですが、今のところ会員登録された方々とは全く連絡が取れず、さらにはスマート食品の実験に協力してくださった方々はもれなく今日までに傷害事件で捕まっているという情報もありますが、これがスマート食品と事件を関連づけるものとは考えておりません。

スタジオのキャスター-----そうですか。それでは他に原因があるとお考えですね。

勉治屋-----はい。私はそう考えております。

スタジオのキャスター-----しかし、このスマート食品はサービス開始から短い期間に広まったようですが、もしもスマート食品に問題があった場合には対処する方法というのがあるのでしょうか?

勉治屋-----はい。スマホにインストールしたスマート食品アプリに関してはですね、アンインストールすることで問題は解決いたします。もしも問題が残っているような場合は、スマートフォンを再起動することで正常な動作に戻ると思います。

スタジオのキャスター-----それで、人間がおかしくなった場合には、何かあるのでしょうか?

勉治屋-----それはですね。今のところスマート食品で人体に異常が起きるという例は報告されていませんので、問題ありません。

スタジオのキャスター-----そうですか。それにしても、短い期間で沢山のアプリがインストールされて一気に急成長という感じですが、そこになにか成功の秘訣はあるのでしょうか?

勉治屋-----ええと、有名人のブログで宣伝してもらいました。

スタジオのキャスター-----そうですか。それは良い戦略ですね。それではCMの後も予定を変更して、この事件の続報をお届けします。

Little Mustapha-----はいはい。…ということで、どうしようか?

Dr. ムスタファ-----どうするも何もなあ。

ミドル・ムスタファ-----さっきは人間なら大丈夫とか言ってましたけど、どうやら変身してモンスターになってるようですよ。

ニヒル・ムスタファ-----また異次元の世界に逃げた方が良いのか?

Little Mustapha-----うーん…。それはどうだろう?

ミドル・ムスタファ-----なんか問題があるんですか?

Little Mustapha-----どうも最近は異次元ネタが多すぎるし、リボンを付けたネコとか、今年の夏にはクローン兵士みたいなのも異次元に去っていったし。どっちかというと異次元の方が危険が多い気もするんだよね。それに、間違って絶望の荒野みたいなところに行っちゃったら、また戻ってこられなくて大変だし。

犬サンタ-----でも大丈夫だワン!さっきのテレビで言ってたのは筋肉トナカイのことなんだワン!筋肉トナカイ達は強いから悪い奴はみんなやっつけてくれるんだワン!

Little Mustapha-----そうなのか!やっぱりサンタの仲間はスゴいなぁ!

犬サンタ-----そうなんだワン!

ニヒル・ムスタファ-----そんな簡単にいくのか?

Little Mustapha-----まあ、今のところ窓の外を見ても特に異常はないし。大丈夫じゃない?

ミドル・ムスタファ-----じゃあ、とりあえずは落ち着いても良いようですね。

 この緊張感のなさは何なのか?という感じですが、恐らくテレビのインタビューの呑気さに誤魔化されてしまっているのでしょう。もしかすると危険がすぐ近くまで迫っているかも知れないのですが、Little Mustapha達はまたパーティーの続きを始めてしまいました。

Dr. ムスタファ-----…というわけでな、シャワーシーンは音だけ聞かせるのが理想的なんだな。

ニヒル・ムスタファ-----というか、なんでさっきからシャワーにこだわってるんだ?

Dr. ムスタファ-----誰だって女性のシャワーシーンは好きだろう?

ミドル・ムスタファ-----誰だって、っていうのはおかしいですよ。

Little Mustapha-----それに「ただし美女に限る」というのが抜けてるしね。

Dr. ムスタファ-----何を言うんだ!それじゃあ美女以外に失礼じゃないか!

Little Mustapha-----うわ、そんなところで怒られるとは。

犬サンタ-----ああ、そんな話を聞いていたら早くご主人様に会いたくなったんだワン。一緒にお風呂に入りたいんだワン。

Little Mustapha-----いいなあ犬サンタ君は。

ミドル・ムスタファ-----そんなところを羨ましがってどうするんですか。

Little Mustapha-----今度は「犬サンタ君と心と体が入れ替わる券」っていうの貰えないかなあ。

ニヒル・ムスタファ-----そうやってスケベ心を丸出しにするから失敗するんだぜ。

Little Mustapha-----そうなの?でもこういう妄想的な考えは実現すると悲しい気分になるからな。だから妄想は妄想として盛り上がるのが健全だと思うんだな。

Dr. ムスタファ-----なかなか科学的な意見じゃないか。

ニヒル・ムスタファ-----どこがだよ!

マイクロ・ムスタファ-----あの…。

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----はい、何でしょうか?

マイクロ・ムスタファ-----もう、どうしてもみんなで一斉に答えたいんですね。そんなことはどうでも良いですが、ベランダの方から音がしませんか?

Little Mustapha-----ん?!…ああ、ホントだ。

犬サンタ-----誰か来たんだワン!もしかするとご主人様かも知れないんだワン!

Little Mustapha-----ああ、そうか!ここでサンタの孫娘が登場して、今回は絶望からの有頂天!という展開かもしれないな。

ニヒル・ムスタファ-----というか犬サンタ君はニオイでご主人様かどうか解らないのか?

犬サンタ-----この部屋のニオイがきついし、閉め切ってるから解らないんだワン!

Little Mustapha-----それはどうでも良いから。とにかく開けてみましょう。サンタの孫娘ではなくても、サンタさんがプレゼント持ってきたというドッキリとか。ああ、それから思い出したけど、サンタの孫娘とセクシートナカイさんのドッキリなんとかかも知れないし。

ミドル・ムスタファ-----なんでも良いですけど、開けるなら早く開けましょうよ。

マイクロ・ムスタファ-----あぁ…。


 マイクロ・ムスタファは何か言いたそうだったのですが、彼が言葉を発する前にLittle Mustaphaはベランダへ続く窓を開けてしまいました。するとそこにいたのは、怪しいアプリとかセンサー入りの食品によって変身したと思われるモンスターでした。


「グオオオォォォオオオオ!」

次のページへ