犬サンタ君が言ったとおり、しばらくするとサンタとサンタの孫娘さんがベランダの窓からやって来ました。

犬サンタ-----ああ、ご主人様！会いたかったんだワン！寂しかったんだワン！ワンワンワン！

サンタの孫娘-----ゴメンね犬サンタちゃん。こんなことになるなんて思ってなかったのよ。

犬サンタ-----ホントに寂しかったんだワン。辛かったんだワン。もうこんなことは絶対にイヤなんだワン！

サンタの孫娘-----ゴメンね。こんなことはこれからは絶対にないからね。これからもずっと一緒だよ。チュッ！

犬サンタ-----ホントかワン？これからも一緒にお風呂入ってくれるのかワン？

サンタの孫娘-----もちろんだよ。一杯お風呂に入ろうね。チュッ！チュッ！

犬サンタ-----約束だワン！それから一緒に寝たりするんだワン！約束だワン！

サンタの孫娘-----約束だよ。いっつも一緒だからね。チュッ！チュッ！チュッ！…

Little Mustapha-----グヌヌヌヌ…。

ミドル・ムスタファ-----ちょっと、どこ行くんですか？

Little Mustapha-----ボクは嫉妬の荒野に行くことにする。

ミドル・ムスタファ-----なに言ってるんですか？そんなところに行ったら戻ってこられませんよ。

ニヒル・ムスタファ-----そうだぜ。それに、なんで犬に嫉妬してるんだよ。

Little Mustapha-----まあ、それもそうだな。それじゃここは前向きな感じでね。犬サンタ君に羨望の眼差しを向けることにしよう。

　Little Mustaphaがそう言うと、なぜか他のメンバー達も犬サンタ君に羨望の眼差しを向けました。誰だって犬やネコになって美女にギュッとされてチュッとされたいと思わないワケはありませんから。それは普段そういった会話に入ってこないニヒル・ムスタファやマイクロ・ムスタファにだって同じ事なのです。

ニヒル・ムスタファ-----なんか余計な説明が入ったような気がするが、それよりもサンタさんと孫娘さんが来たってことは何かあるんじゃないのか？

サンタの孫娘-----ああ、そうでした。…あの、恥ずかしいところをお見せしてしまって…。

犬サンタ-----アッ、ご主人様赤くなってらぁ、だワン！

サンタの孫娘-----コラッ…！

Little Mustapha-----ちょっと、そんなときめくシチュエーションとか、たまりませんって感じになってしまうから。

ミドル・ムスタファ-----それよりも、ここに来たのは犬サンタ君を迎えに来ただけではないと思いますが。

サンタ-----オーホッホッホッホ…！そうだぞ、よく解っているじゃないか。問題はとりあえず片付いたから、キミ達が無事かどうか確認しに来たんだがね。無事で何より、オーホッホッホッホ…！

Little Mustapha-----それよりも、なにが起きていたのか全然解らないですけど。危険が迫ってたっぽいですけど、あまりにも一瞬だったし。

ミドル・ムスタファ-----でも、その前の偽手紙とか偽メールも関連していると考えると、実は長い話かも知れませんよ。

サンタ-----そうなんだよ。諜報部の方から「振り出しに戻る券」の利用があったと連絡があってね。それでイロイロと調べてみたんだがね。

Little Mustapha-----諜報部ってサンタの国の諜報部？

サンタ-----そうだが。

Little Mustapha-----そうなのか。

ミドル・ムスタファ-----それで納得なんですか？

Little Mustapha-----いや、だいたいで納得しないと長くなっちゃうし。

サンタ-----それで「振り出しに戻る券」が使われたとなると、どこかで何かが起こっているはずだということで調査が始まるんだが、それがここだと聞いたらますます怪しい。

Little Mustapha-----別に我々は怪しくはないですよ。

サンタ-----ああ、失礼。そういうことではなくてね。もしも使われるのならもっと遅い時間になるはずだと思っていたんだよ。つまりイロイロなことが起こって大ピンチになった時にな。オーホッホッホッホ…！

ミドル・ムスタファ-----でもなぜか助かりましたよね。

サンタ-----それは私たちが迅速に行動したからね。それにキミ達が変な世界へ消えていたことで変な方向に話が進まなかったのも良かったかもしれんぞ。とにかく犯人はキミに「振り出しに戻る券」を先に使わせておいて、そのあとでキミを襲うという計画だったようだが。

ニヒル・ムスタファ-----じゃあ、やっぱりあのモンスター達は全員ここに向かって進んでいたんだろうな。

サンタ-----そのようじゃな。でも私たちが総力を結集して、あの体内のセンサーを無効にするウィルスを人間用ネットーワーク経由で送信した結果、彼らはもとの姿に戻ったんだよ！オーホッホッホッホ…！

Dr. ムスタファ-----でも、あのアプリっていうのは何だったんだ？体内から情報を外に送信するなんて、まるで宇宙人から教わった技術じゃないか？

サンタ-----そういう考えもあるかな。ただし、正しく使えば今回のようなことは起きないんだよ。あのベンチャー企業も悪いことをしようと企んでいたワケではないと思うがな。どこかからの遠隔操作で体内のセンサーが本来とは別の動作をして、人間を別の生き物に変えてしまったんだよ。

ミドル・ムスタファ-----つまり、遠隔操作したのが真犯人ということですね。

サンタ-----そういうことになるな。ただし、あの技術はまだ人間には使いこなせない技術なんだが。どこかから情報が漏れているのか、あるいは誰かが故意に漏らしているのか。どうも気に入らない部分もあるんだがな。オーホッホッホッホ…！とにかく、みんながインストールしてるからって、油断せずに危険な要素のあるアプリをインストールする前にはよく考えるんだぞ！オーホッホッホッホ…！

Little Mustapha-----なんだか啓蒙活動になってきてるけど。それよりもその技術っていうのは何なの？もしかして、それって黒猫亭のマダムとかが関係してるの？

サンタ-----黒猫亭？なんだそれは？オーホッホッホッホ…！

Little Mustapha-----あれ？知らないのか。この前の夏の話だとスゴい技術の時に黒猫亭のマダムが絡んできたりしてたんだけど。

サンタ-----私たちも全能ってワケじゃないからな。オーホッホッホッホ…！夏はプレゼントの用意で大忙しだよ。オーホッホッホッホ…！

犬サンタ-----それよりも、あのメールを送ったのは誰なのかワン？

Little Mustapha-----ああ、そうだよ！ボクを偽って手紙を送ったヤツとか。

犬サンタ-----捕まえてとっちめないといけないんだワン！

Little Mustapha-----そうだワン！

サンタ-----その件に関しては、まあ調査中というかな…。

サンタの孫娘-----あなたは知らない方が良いと思います。

Little Mustapha-----え？なんで？

サンタの孫娘-----理由は…。理由は申し上げられません。

Little Mustapha-----なんだ、この謎の展開は？

犬サンタ-----ご主人様がダメと言ってるんだからダメなんだワン！

Little Mustapha-----もう、解ったよ。でも今後二度とあんなことがないように犬サンタ君も注意していてくれよな。

犬サンタ-----解ってるんだワン！私だってあんな辛いのはもうゴメンなんだワン！

サンタの孫娘-----それじゃ、犬サンタちゃん、そろそろ行きましょうか。

犬サンタ-----もう行くのかワン？まだジャーキーがちょっと残ってるんだワン。

サンタの孫娘-----でもまだペットとマスコット達にプレゼントを配ってないでしょ？

犬サンタ-----ああ！？そうだったんだワン！すっかり忘れてたんだワン！思わずお漏らししてしまいそうだワン。

サンタの孫娘-----私も手伝ってあげるから大丈夫よ。

Little Mustapha-----じゃあ、ボクも手伝ってあげようかなぁ…とか。

ミドル・ムスタファ-----あなたは無理でしょ。

Little Mustapha-----まあ、そうだよね。

サンタの孫娘-----あの、これ。犬サンタちゃんをみててくれたお礼です。みなさんで飲んでください。

Little Mustapha-----うわ、これは「サンタの国のサンタの酒」だ！

サンタ-----今年もそれがプレゼント代わりになってしまったな。オーホッホッホッホ…！

ニヒル・ムスタファ-----まあ、今年はコレで十分なんじゃないか？

ミドル・ムスタファ-----そうですね。

LMBのメンバー達-----ありがとう！サンタさんにサンタの孫娘さん！

サンタ達-----どういたしまして。（だワン）

サンタ-----来年はプレゼントを貰えるように良い子に…というか、いい大人…、まあどうでも良い。オーホッホッホッホ…！メリークリスマース！

Little Mustapha-----行ってしまいましたが。それじゃあサンタの酒も手に入ったし。これを飲みながら来年に向けての対策をいろいろとね。それじゃあ、サンタの酒をバケツで割ってコップに酌んで。せーの…アッー！

ミドル・ムスタファ-----なんですか急に？

Little Mustapha-----サンタの孫娘さんに関する来年への伏線が張られてないことに気づいてしまいました。去年はあの券とかあったけど。

ニヒル・ムスタファ-----そんなこと言っても、もう行っちゃったぜ。

Little Mustapha-----でも、大きい声で言えばまだ聞こえるかもしれないし、取り急ぎこの窓から。「えーと、来年もまた来てくれますかー？」

……（遠くの空から）「解ったんだワーン！ジャーキーをよろしくだワーン！」……

Little Mustapha-----…って。犬サンタ君かよ！

ニヒル・ムスタファ-----そんなオチで良いのか？

Little Mustapha-----まあ、これはこれで良いんじゃないの？じゃあ、とにかく、せーの…アッー！

ミドル・ムスタファ-----なんですか今度は？

Little Mustapha-----ニコラス刑事とか。

一同-----アッー！

　さっきの大パニックですっかり忘れられてしまったニコラス刑事ですが、どうなってしまうのでしょうか？と、思った時でした。部屋にニコラス刑事の姿が現れました。

ニコラス刑事-----ああ、やっぱり夢だったのか。今日も飲んでから来てしまったから、最初の方のことは良く覚えてないが、私はいつから寝てたんだ？

ミドル・ムスタファ-----寝てたのではなくて、ここに誰もいなかったりしたのは現実ですよ。

ニコラス刑事-----それはどういうことだ？でも今はみんないるじゃないか？

ニヒル・ムスタファ-----なんか説明するの面倒だな。

Dr. ムスタファ-----それよりもどうしてニコラス刑事が戻ってこられたのか、の方が気になるぞ。

Little Mustapha-----そうだね。それさえ解れば今回は謎を残さずに終われるから。ニコラス刑事さんが夢だと思っていたところからここに戻ってくる時に何してましたか？

ニコラス刑事-----何って言われてもな。確か一人で寂しいから、机の上にあった酒を飲んでたんだが、そうしたらいつの間にか寝ていて、そこで夢を見ていたんだが。それで夢の中で面白い事があったんだが、そこで笑ったら自分の笑い声で目が覚めて。でもなんで笑ったのか覚えてないんだが、それでも笑いが収まらなくて、また笑い出したら、理由もないのに笑ってるなんて変な感じだ、とか思ってさらに可笑しくなって、そんなことを考えてたら今の状態、という事なんだが。

ミドル・ムスタファ-----まあ、何となく納得ですかね。

Little Mustapha-----とにかく、もう話が長すぎになってきたんだし。せーの！

一同-----メリークリスマース！

　ということで、今年もプレゼントは貰えなかったLMBのクリスマス。この調子では来年も同じ結果になるような気もするのですが、それはこれからのパーティーという名の対策会議、あるいは対策会議という名のグダグダ飲み会で議論されるのでしょうか？

　恐らく飲んで終わりになりそうですが、今回の話の最後には新たな要素が出てきたような気もしますし、油断は禁物ということのようです。

　それでは、今年もなんとか形になったクリスマスのサンタネタはこの辺で。そして、また年末が来て新年が来ますので何かしら特集をしないといけません。お楽しみに！