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#148 「in Gloom」 2012-12-21 (Fri)

犬サンタ-----ハッハッハッハ…!やっと開けてくれたんだワン!寒かったんだワン!

ニヒル・ムスタファ-----ちょっと、これはどういうことだ?まさかまたペット用のプレゼントか?

犬サンタ-----そんなことは良いんだワン!緊急事態だから早く入れるんだワン!

ミドル・ムスタファ-----そうですか。まあ、ボクの部屋じゃないですけど、どうぞ入ってください。

ニヒル・ムスタファ-----それで、緊急事態ってなんなんだ?

犬サンタ-----それよりもLittle Mustaphaはいないのかワン?

Dr. ムスタファ-----そうなんだよな。私らも不思議に思ってるんだが。

犬サンタ-----それは大変だワン!急いでやって来たけど、ご主人様のソリは速いから一足遅かったんだワン。

ミドル・ムスタファ-----よく解らないですけど。解り易く説明してくれますか?

 これまたいきなりやって来た犬サンタ君。サンタの孫娘さんの愛犬でもある犬サンタ君の訪問は先程の件と何か関係があるのでしょうか?メンバー達は犬サンタ君の説明を聞きました。

犬サンタ-----これは大変な思い違いなんだワン。だけどご主人様はそれに気づかずにLittle Mustaphaに絶交を申し入れに行ってしまったんだワン。

ミドル・ムスタファ-----どういうことですか?

犬サンタ-----あれは半年ほど前のことだったんだワン。ご主人様のところへLittle Mustaphaからのラブレターが届いたんだワン。

ニヒル・ムスタファ-----ヤツはそんなことするのか?!

犬サンタ-----まあ、落ち着いて聞くんだワン。ご主人様はそれを読んでちょっと嬉しそうにしていたんだワン。でも私はそれがLittle Mustaphaが書いたものじゃないと解っていたんだワン。この部屋の変な臭いが全然しなかったんだワン。

Dr. ムスタファ-----確かに、この部屋はたまにヘンな臭いだな。

ニヒル・ムスタファ-----それはどうでも良いんだぜ。それよりも、そのあとは?

犬サンタ-----でもご主人様は嬉しそうだったから、黙っていたんだワン。そのあとも何度もラブレターが届いたんだワン。そのたびにご主人様は嬉しそうだったけど、ある時に急におかしな事になったんだワン。ご主人様は手紙を読んで悲しんだり、怒ったり、時には泣き出すこともあったんだワン。きっとそこには酷いことが書いてあったんだワン。そうなってしまったら、もう手遅れだったんだワン。私が「それはLittle Mustaphaの書いた手紙ではないんだワン」と言っても、それをただの慰めだと思って聞いてくれなかったんだワン。

Dr. ムスタファ-----なんて酷いヤツだ、あいつは!これはとっちめてやらないとな!

ニヒル・ムスタファ-----先生、話聞いてたのかよ?手紙を出したのはLittle Mustaphaじゃない誰か、って事だと思うんだが。

ミドル・ムスタファ-----そうですね。あの人にはにはそういう手紙を出したりするマメさがないですしね。で、その後はどうなったんですか?

犬サンタ-----ご主人様はずっと思い詰めていたようだったんだワン。でも今日になって筋肉トナカイを二匹つれて出かけたんだワン。私は気が引けたけど、その後こっそりご主人様に宛てられた手紙を読んでみたんだワン。それから、臭いも厳密に嗅いでみたんだワン。それでそれが間違いだと確信して、ご主人様を止めようと急いでやって来た、ってワケなんだワン!

ニヒル・ムスタファ-----だが手遅れだった、ってことか?

犬サンタ-----そのようなんだワン。

ミドル・ムスタファ-----それよりも、筋肉トナカイってなんですか?

犬サンタ-----筋肉ムキムキのトナカイだワン!とっても強いんだワン!だから悪い奴を捕まえる仕事もするんだワン!

ミドル・ムスタファ-----それじゃあ、もしかしてLittle Mustaphaはその筋肉トナカイ達に捕まって、連れて行かれたって事ですか?

犬サンタ-----それはないと思うんだワン。今日はご主人様の護衛をしただけだと思うんだワン。偽の手紙を読む限り、きっとご主人様は身の危険を感じていたんだワン。

Dr. ムスタファ-----そうか。ヤツも酷いことをするな。

ニヒル・ムスタファ-----先生、ちゃんと理解できてる?

Dr. ムスタファ-----だいたいはな。

ミドル・ムスタファ-----それよりも、Little Mustaphaはどうしたんでしょうか?

犬サンタ-----私もそれが知りたいんだワン。ご主人様は用事が済んだらいつもの仕事に戻るから居場所はわかるんだワン。でもLittle Mustaphaはどこにいるのかワン?

Dr. ムスタファ-----さあ、どうだろうな?何もしてないのにフラれた、って事になるんだろ?

ニヒル・ムスタファ-----いちおう解ってたのか? でも、そんな状況になったら、アイツは何をするんだろうな?

マイクロ・ムスタファ-----絶望の荒野ですね…。

犬サンタ-----キミは誰なのかワン?

マイクロ・ムスタファ-----はぁ…。やっぱりそれをやるんですか?今は大事な時だって言うのに。

犬サンタ-----すまなかったんだワン。それをやったら少しは場が明るくなるかと思ったんだワン。

ニヒル・ムスタファ-----犬サンタ君がそんな気を使わなくて良いんだぜ。それよりも、何が言いたいんだ?マイクロ・ムスタファは。

マイクロ・ムスタファ-----全てに絶望した者だけが辿り着く、絶望の荒野。彼がいるのはそこ以外にありません。

ミドル・ムスタファ-----そんなものあるんですか?!っと思ったのですが、これまでも「ドコデモナイの荒野」とかありましたし、ないこともなさそうですね。なんでしたっけ?なんとかの荒野。

マイクロ・ムスタファ-----絶望の荒野です。そして、そこに行って彼を助け出せるのは私をおいて他にいないと思うのです。

ニヒル・ムスタファ-----言いたいことはだいたい解るがな。それよりも、なんでそんなにしてLittle Mustaphaを呼び戻さないといけないんだ?

マイクロ・ムスタファ-----あなたは珍しく気づいていないようですね。考えてみてください。今のこの状況。これじゃあどう考えてもプレゼントは貰えませんよ。

一同(マイクロ・ムスタファ除く)-----アッー!そうだった!これじゃあプレゼント貰えるわけないじゃん!

マイクロ・ムスタファ-----なんでみんな一斉に言うんですか。しかも犬サンタ君まで。

犬サンタ-----つられて言ってしまったんだワン。

Dr. ムスタファ-----それはともかく、早くLittle Mustaphaを連れ戻してきてもらわないとな。

ミドル・ムスタファ-----そうですね。なんとかサンタの孫娘さんの誤解を解かないと、プレゼントどころじゃないですよ。

ニヒル・ムスタファ-----それよりも、アイツが戻って来て誤解は解けるのか?サンタの孫娘さんに説明すれば良いだけじゃないのか?

犬サンタ-----それじゃあLittle Mustaphaに悪いんだワン。Little Mustaphaが戻ってきたら良い方法を使って全てがマルく収まるんだワン!

ミドル・ムスタファ-----ずいぶんとLittle Mustaphaに優しいんですね。

犬サンタ-----犬というのはビーフジャーキーの恩を一生忘れないんだワン!

ミドル・ムスタファ-----へえ。

ニヒル・ムスタファ-----それよりも、そうと決まったら早いとこLittle Mustaphaを連れ戻して来てもらわないとな。その何とかの荒野って、行っても大丈夫なのか?

マイクロ・ムスタファ-----私なら大丈夫です。私がこの世界に対してどれだけ絶望しているか、すでに私の作品を読んだのなら解ってるでしょう?

ミドル・ムスタファ-----いつも未完なんでそれほど解ってませんけど。そこまでいうなら大丈夫ってことですね。

Dr. ムスタファ-----彼のためにも。いや、プレゼントのためにも頼んだぞ。

マイクロ・ムスタファ-----任せてください。それじゃあ、行ってきます。


 そう言うとマイクロ・ムスタファの姿がスッと消えてしまいました。


ミドル・ムスタファ-----ええ?!そんなふうにして行くんですか?

ニヒル・ムスタファ-----ちょっと意外だったな。良く人間が蒸発したとか言われてるけど、あれが本当だったらあんな感じなのかもな。

Dr. ムスタファ-----蒸発っていうのはもっと高温じゃないとダメだろ?科学的に。

ニヒル・ムスタファ-----そういう意味じゃないけど。まあ良いか。

 こうしてブラックホール・スタジオでは残された三人と犬サンタ君がLittle Mustaphaとマイクロ・ムスタファの帰りを待つことになりました。しかし、テレビのリモコンもないしヒマになることが予想されたので、早く帰ってくればいいな、とそれぞれが密かに思っていました。

 するとその時、思いがけないことが起こりました。玄関の扉が開いて誰かが入ってくる音がしたのです。一体誰がやって来たのでしょうか?今日は序盤から慌ただしいクリスマスパーティーになってきたようです。

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