絶望の淵に辿り着いてしまうことは免れたLittle Mustaphaですが、あのあとどうなったのか。それはまだ解らないのですが、絶望の荒野にあるブラックホール・スタジオでは残されたメンバー達が前向きになる努力。あるいは少しでも希望を持つ努力をしていました。
Dr. ムスタファ-----それにしても、前向きになるっていうのは意外と難しいもんだな。
ニヒル・ムスタファ-----当たり前だぜ。ここは絶望の荒野なんだしな。ここで前向きになれ、っていうのがそもそも間違いなんじゃないか？
ミドル・ムスタファ-----そんなことを言ったらいつまでも戻れないじゃないですか。ここは力を合わせて前向きになりましょうよ。それに犬サンタ君も。いつまでもふてくされてないで、前向きになりましょうよ。
犬サンタ-----フンッ…。
冷子-----それはふてくされているというより、寝てるだけなんじゃないか？って思うけど。でもここで前向きになるのは本当に難しいんだし。ここはじっくり段階を踏んで進めていった方が良いんじゃないか？ってことだけど。
ミドル・ムスタファ-----なにか良い方法はあるんですか？
冷子-----別にコレってものがあるワケじゃないんだけど。まあ、上手くいかなかったら別の方法でやれば良いんだし。思いつくことはやってみたら良いんだし。うーん…。まあまあだけど…。
ニヒル・ムスタファ-----何がまあまあなんだ？
ミドル・ムスタファ-----いいから、とりあえず任せてみましょうよ。
冷子-----それじゃあ、やってみるけど。まず第一段階として絶望ばかりしていた気持ちを切り替える、ってことだけど。これはみんな出来てるんだし。犬サンタ君はどうなのか？ってことだけど、まあ起きたら参加してもらえば良いんだし。
Dr. ムスタファ-----とはいっても、今は人間の言葉が喋れないから参加できないんじゃないか？
冷子-----それはその時の状況によって、ってことだけど。うーん…。それじゃあ、第二段階に移ろう、ってところになってくるんだけど。第二段階は「自らの絶望に向き合おう」ってことだな。自分が何によって絶望したのか、それを良く知れば乗り越える方法も見つけることが出来るんじゃないか？ってことだけど。
ミドル・ムスタファ-----私たちの場合はプレゼントですね。今年のプレゼントデータベースに私たちの名前はなかったんです。
冷子-----ってことは、コレのことだな。この犬サンタ君のMacBook Airに絶望の原因がある、ってことだな。
Dr. ムスタファ-----つまり、そのパソコンをたたき壊せばスッキリするってことか？
冷子-----ちょっと！何言ってるのか？ってことだけど。それはどう考えても間違ってるんだし。パソコンを壊すとか私が許さないんだし。
ミドル・ムスタファ-----そうですよ。それにあまり科学的とは思えませんよ。
Dr. ムスタファ-----なにを言うんだ。ものを破壊してスッキリするのは科学的じゃないか。
ニヒル・ムスタファ-----ビミョーにあってるから何とも言えないな。ただし、今は壊さない方が良いと思うぜ。
ミドル・ムスタファ-----そうですね。それに犬サンタ君の持ち物を勝手に壊しちゃいけませんよ。
Dr. ムスタファ-----でも彼もこれ壊したい気分なんじゃないか？
冷子-----うーん…。そんなことはどうでも良いんだし。とりあえず、そのデータベースって何なのか？ってことなんだし。本当にプレゼント貰えないことになってるのか？ってことだけど。…うーん。見たところそれは本当のことみたいなんだし。それにしても、このシステムは霊界のものとほとんど一緒なんだけど。これは興味深いな、ってことだけど。
ミドル・ムスタファ-----それはどうでも良いですよ。
冷子-----ああ、そうなんだし。絶望しててもこういうところは気になってしまうのでございます、ってことだけど。うーん…。ところで、またメールが届いてるんじゃないか？ってことだけど。これはどうするべきなのか？ってことなんだし。
ミドル・ムスタファ-----どうでしょうね？この絶望の荒野でもメールが届くというのも不思議ですが。
ニヒル・ムスタファ-----そして、中身もちょっと気になる。
冷子-----でも人のメールを勝手に見るのは良くないんじゃないか？ってことなんだし。
Dr. ムスタファ-----だが今や犬サンタ君はただの犬みたいになってるんだがな。
ミドル・ムスタファ-----ちょっと犬サンタ君。メールが来てますけど、どうしますか？勝手に読んでも良いですか？
犬サンタ-----フンッ…。
ミドル・ムスタファ-----それってイエスですか？
犬サンタ-----フンッ…。
ミドル・ムスタファ-----ノーですか？
犬サンタ-----フンッ…。
冷子-----これじゃ全然解らないんだし。じゃあ、見ちゃうぜ。
犬サンタ-----フンッ…。
ニヒル・ムスタファ-----まあ、大丈夫なんじゃないか。吠えたりしてないし。
冷子-----それじゃあメールを見てみるけど。うーん…。
ミドル・ムスタファ-----なんのメールですか？
冷子-----いや、サンタの孫娘さんから、ってことだけど…。
Dr. ムスタファ-----なんて書いてあるんだ。
冷子-----うーん…。なんかLittle Mustaphaが可哀想になってくるから内容は内緒ってことなんだし。
ニヒル・ムスタファ-----つまりサンタの孫娘さんは幸せそうだってことだな。
冷子-----うーん…。そうなんだけど。それにしても、サンタの孫娘ってこんなことする人なのか？ってことなんだし。うーん…。わかんねえな。
犬サンタ-----フンッ…。
ミドル・ムスタファ-----犬サンタ君も可哀想に。しばらくは私たちが面倒見ますから、犬サンタ君も前向きになってくださいよ。元の世界に戻れたらビーフジャーキーだって食べられますよ。
犬サンタ-----フッ…。
ニヒル・ムスタファ-----ビーフジャーキーって聞いたらちょっと反応が変わってないか？
ミドル・ムスタファ-----そうですね。
犬サンタ-----フンッ…。
冷子-----アーッ！しまったんだし！大変な間違いだったんだし！…ああ、こんなことだから背後霊失格なんだし。うーん…。
ミドル・ムスタファ-----ちょっとどうしたんですか？いきなり大声出したりして。
冷子-----どうしてこんなことに気づかなかったのか？ってことなんだし。早く気づいてたらLittle Mustaphaを連れ戻せてたかも知れないのに。
ニヒル・ムスタファ-----それで、なにがどうなってるんだよ？
冷子-----これ、なんだし。良く見たらこのメールおかしいんだし。それに前のメールも。その前も。やっぱりサンタの孫娘さんはこんな酷い人じゃない、ってことだったんだし。
犬サンタ-----それはどういうことかワン？！
Dr. ムスタファ-----おお、また喋ったぞ！
犬サンタ-----そんなことはどうでも良いんだワン。それよりも、なにがおかしかったのかワン？
冷子-----犬サンタ君、キミもおっちょこちょいだな、ってことなんだし。これ良く見てみたらイイんだし。サンタの孫娘さんからのメールだけど、ヘッダ情報によると経由しているサーバは人間用のサーバなんだし。サンタ一族がそんなもの使うワケないんだし！
Little Mustapha-----ってことは、これまでのメールは全部偽物ってことじゃん！
ミドル・ムスタファ-----あれ？！あなたもいきなり登場ですか？
Little Mustapha-----まあね、ホントはすぐ戻ってきたかったけど、まだ絶望してる感じだったから、なにかのきっかけが必要だった、ってことだけど。
冷子-----でも、あそこまで行って良く戻ってこられた、ってことだけど。
Little Mustapha-----ボクには絶望よりも大事なことがあるのを思い出してね。…というか、その前に冷子さん。さっきは酷いこと言ってごめんなさい。
冷子-----ぉッ…。って。いきなり素直になられると困惑なんだし。別に、そんなにあれなんだし。あの…、別にちょっとはこっちも悪かったのか、ってことでもあるんだし…。うーん…。わかんねえけど。
ニヒル・ムスタファ-----何ミョーな雰囲気を出してるんだ？
冷子-----別に照れてるとか、そんなことじゃないんだし。
ミドル・ムスタファ-----だれも照れてるなんて言ってませんけど。それよりも、本当にそのメールは偽者なんですか？
犬サンタ-----そうなんだワン。私たちは専用のネットワークを使うんだワン。人間のネットワークを使ったらサンタ界の情報を傍受される恐れもあるし、それに人間のネットワークは低速すぎるから使い物にならないんだワン！
冷子-----でもこれってLittle Mustaphaの使ってるサーバと一緒なんじゃないか？ってことだけど。まあ、人間は大勢で一つのネットワークを共有してるんだし、おかしなことでもないんだし。それよりも、まずは犬サンタ君が今回はMacBook Airでメールをやっているという設定に疑問を持つべきだったんだし。
犬サンタ-----今回は慌てて出てきたからiPad miniは家に置き忘れてきた、って設定なんだワン。
Little Mustapha----- miniも買ってもらったのかよ。
犬サンタ-----小型犬だからminiが似合うってご主人様が言ってたんだワン！
Dr. ムスタファ-----でもなんでiPad miniじゃダメなんだ？
冷子-----iPad miniのメールアプリじゃ仕様上、送られてきたメールの細かい情報を見るのが困難なんだけど。パソコンのメールソフトだと詳細は表示出来るってことなんだけど。どうしてそういう仕様なのか解らないけど。まあ、そんな細かいところは気にしなくてもいい、ってことでもあるけど。うーん…。
ニヒル・ムスタファ-----そういうことは犬サンタ君が最初に気づくべきだったんじゃないか？
犬サンタ-----でもメールじゃニオイがしないから解らないんだワン。それに難しいことはご主人様任せだからメールの仕組みなんて良く知らないんだワン。
Little Mustapha-----その設定は今考えたでしょ？
犬サンタ-----そこは許してニャン！
Little Mustapha-----ニャンじゃないよ。
