またダラッとした話題で盛り上がってしまったLittle Mustapha達ですが、テレビで人気女子アナのウッチーこと内屁端アナのリポートが始まると、そこがブラックホール・スタジオ（Little Mustaphaの部屋）のすぐ近くだということに気付いて、また少し緊張感が出てきたようです。

Little Mustapha-----留守番電話の次は女子アナのリポート。そして部屋には犬サンタとゾンビ。

マイクロ・ムスタファ-----しかし、一つ気になることがあります。これまでテレビのアナウンサーはこの街にモンスターが現れたからやって来ていましたけど、今回は何もないのにやって来ています。

ミドル・ムスタファ-----しかも、わざわざ何もない事を強調してリポートしてますね。

Little Mustapha-----という意見を踏まえると、やっぱり何も起きないって事だね。

ニヒル・ムスタファ-----オレ達は安全地帯にいるから良いけどな。ただあんまり楽観するのも良くないと思うぜ。

Dr. ムスタファ-----そうだな。キミが死ぬところを画面で見るのはイヤだからな。

Little Mustapha-----ちょっと、死ぬとか…。縁起でもない。

犬サンタ-----でも気をつけないといけなんだワン。

Little Mustapha-----とはいってもねえ。これってアレだよ。いつ来るか解らない大地震のために常に気をつけてるようなことだし、無理って感じだよね。

マイクロ・ムスタファ-----それは興味深い喩えですね。でも地震に備えるのと同じようにすれば良いんじゃないですかね。

Little Mustapha-----緊急持ち出し袋みたいな。アレってどこに置いたか忘れるからね。それなら、非常時のために必要なものを近くに置いておくことにしよう。

犬弟子サンタ-----必要なものってなんだバウ？

Little Mustapha-----そんなのは決まってるよ。まだ開けてない大量の酒と、さらにさっき貰ったサンタの国のサンタの酒。これは目の前に置いておいた方が良いかな。

ミドル・ムスタファ-----結局そうなるんですね。

Little Mustapha-----古今東西、酒で解決しなかった問題はナシ！

ニヒル・ムスタファ-----まあ、冷静に考えたら酒によるトラブルの方が多そうだけどな。

Dr. ムスタファ-----とはいっても、あの部屋では毎回あれで解決してきたからな。

　ブラックホール・スタジオ（Little Mustaphaの部屋）では話が怪しくなってきた時の準備だけは出来たようです。でも何が起きるのか解らなければ対策のしようもないというのが実際のところでした。

　一方で、街にモンスターが現れると確信している内屁端アナの方はどうなっているのだろうか？丁度、残り２回のうちの最初のリポートが終わろうとしているところである。

「…ということで、またしても何もない街から何もないクリスマスでした！次は一体何が起きるのか？楽しみに待っていてくださいね。ではいったんスタジオにお返ししまぁす！」

　内屁端アナのリポートが終わった直後、ようやく腹屁端アナが到着したようだ。

「お待たせしました、ウッチー先輩。こちら腹屁端でよろしかったでしょうか」

「おいテメェ、なにやってんだよ。遅いんだよ」

「すいませぇん。途中で美味しそうなオーナメントやLEDの照明が沢山あったもので、食レポせずにはいられなかったのです」

そう言われると、腹パンが歩いて来た道は他の道よりも暗く感じられる。ただウッチーが言いたいことはそういう事ではなかった。

「それよりも、なんで亜毛屁端の写真集の宣伝なんてしてたんだよ。女子アナってのはな、見た目じゃなくて中身なんだよ」

「そうかも知れませんが、今時はああいうのもありかと…」

「はあ？！テメェ先輩に口答えすんのか？」

「そうではありません。私はある人からの助言に従ったまでです。女子アナの未来のため、今日は大変な思いをして二人言うことを聞いているのです」

「なるほど、八方美人か。それは女子アナの基本理念でもある。私も新人の頃にそんなことを教わったな」

腹パンの言うことを聞いてウッチーの怒りも少しは収まったのか、次第にもとの女子アナ口調に戻ってきた。

「はい、それではリポートの方も次が最後となっています。それでは腹パン、作戦どおり頼みましたよ」

「そうですね。それじゃ、私が先に行っていてよろしかったでしょうか？ということで、先回りして待機することにします」

これでウッチーの計画どおりに事が進むと思われたのだが、そこへ思わぬ人物がやって来たのである。

「待ってくださぁい、腹パン先輩」

大急ぎでやって来たのは亜毛パンであった。

「コレは罠です、先輩。向こうに行くとモンスターがいて腹パン先輩が襲われてしまいますよ」

「それは一体どういう事でしたでしょうか？」

「おいテメェ、適当なこと言ってんじゃねえぞ！」

またキレる内屁端である。

「適当な事じゃありませぇん。実は先日ある方からのタレコミがあったのですが、若き美人女子アナである私は経験不足から、そんなことはあり得ないと思い込んでいたのです。しかし、今の状況はまさにタレコミどおり！」

「考えてみれば、この先は前にもモンスターが現れた場所でよろしかったでしょうか。ウッチー先輩、この先にあるのは楽しいクリスマスパーティーではなくて、恐ろしいモンスターなのでしょうか？」

「そ、そんなことはあり得ませぇん！…おい、亜毛屁端！お前のせいでクリスマス特番が台無しになるぞ」

「そんなことはありません。この女は大嘘つきですよ！」

「テメェ、この女とはなんだ！？」

二人の間はかなりマズい事になってきたので、さすがに腹パンが止めに入ろうとした時であった。腹パンが激しい腹痛に襲われたのである。

　食べ物を容器ごと食べたり、LEDの電飾や、クリスマスの飾り付けなどを食べてもなんともなかった超人的な内臓の持ち主である腹パンであるが、なんと人間関係のストレスによって胃腸炎を起こしたようなのだ。