一方その頃、ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)では、まだ何も起きていないので、さっきの女子アナの続きである。
腹パンとしても横屁端がウッチーのリコール社の専属アナウンサーになっていたのは知っていたので、ここで腹屁端アナに会うかも知れないということは解っていた。しかし、意外だったのは横パンが笑顔で話しかけてきたことである。
「はい、こちら本社ビルの前なのですが、今日は腹パンこと腹屁端アナがゲストにやって来ていたようです。こんにちは、腹パン。今日はどういった用件でやって来たのですかぁ?」
「あっ、これは横屁端アナ。今日はちょっとした相談ごとでしたが。その前に横屁端アナは先輩のウッチーの宿敵でよろしかったでしょうか?ということなのですが。ウッチー先輩の後輩である私に笑顔で話しかけてくるとは、一体どういったことでしょうか?」
「そんなことを言ってはいけません。所属は変わったといえ、あなたは私の大事な後輩でもあるのです。そして、あなたの持っている、その強力なウンサー。私はあなたこそが世界の頂点に立つにふさわしい女子アナだと思っているのです」
「またウンサーですか…。それは一体どういうものなのでしょうか?」
「それは、アナに対するウンサー。あるいはアナとしてのウンサー。私の助言に従えば今あなたが抱えているつまらない問題はすぐに解決するでしょう。それだけでなく、二人で世界に平和をもたらすことも可能でしょう。困ったことがあったらいつでも私のところへ来て下さいね」
「本当ですか?ありがとうございます。ウッチー先輩がいない時には横屁端アナは優しい先輩なんですね」
「そんなことは当たり前です」
これも腹パンのウンサーのおかげなのか。その前にウンサーとは何なのか?
良く解らないが、危険だと思っていた横屁端アナが実は良い人そうだという事なので、腹パンは少し安心していたのである。ホントに安心して良いのかは解らないが、先輩と後輩の狭間でつらい立場にあった腹パンなので、味方が出来たような気がしていたのだった。