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#192 「リポータル」 2020-12-25 (Fri)

 何が起きたのか理解するためにブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)にはしばしの静寂が必要でした。しかし、それでも何が起きたのか解る人はいません。サンタの孫娘さんを除いては。


ミドル・ムスタファ-----あの、なにが起きてたんですか?なんか途中で映像が乱れたりして、よく見えてなかったんですけど。

Little Mustapha-----良く解らないよ。だけどなぜかサンタの孫娘さんがいるし。これってもしかして、ボクが死にかけてて幻覚みたいなものをみてるのかな?

サンタの孫娘-----そんなことはありません。危ないところでしたが、なんとか皆さんを助けることが出来ました。

鹿場根-----じゃあ、私も少しは役に立ったのですね。

サンタの孫娘-----少しどころではありませんよ。

Dr. ムスタファ-----なんだ?まったく話が見えてこないな。

サンタの孫娘-----では、順を追って説明しましょう。まず、今年もいつものようにこの部屋にあるトイレの扉が邪悪なものに狙われているのは変わりありませんでした。でも今年はステイホームなどで人々の行動がいつもと違っていました。そのために世の中で起きている些細な異常というのを見付けるのが困難だったのです。

Dr. ムスタファ-----でも、外に人が少なければ異常はすぐに見つかるだろう?

ニヒル・ムスタファ-----そうじゃなくて、決まったパターンの中に別のパターンがあればすぐに解るけど、今年は人の行動がいつもと違って、決まったパターンがないからそこが読めないってことだろ。

サンタの孫娘-----そういう事なんです。私達も困っていました。相手がどこからどうやってやって来るのかが解らないので、人員をつぎ込んで防御に当たらせるということも考えたのですが、大がかりになればそれだけ目立つので、相手に裏をかかれる心配もありました。そんな時にどこからともなく情報が入ってきました。それによると敵は「ウンサー」を使って攻撃を仕掛けてくると。

一同(サンタの孫娘除く)-----ウンサー?!

サンタの孫娘-----それが正式な呼び名なのかは知りませんが。それは俗にワームホールと呼ばれる小さな穴を人が通れる大きさにまで拡大して、瞬間移動を可能にする装置のようなものと言われています。

Little Mustapha-----それじゃあ、さっき腹パンがいきなりトイレから出てきたのがそれだったの?

サンタの孫娘-----そうです。でも誰がどこに瞬間移動してくるのかは私達には解りませんでした。だから、こちらもいくつかの場所に瞬間移動できるように準備をしておく必要があったのです。その一つがこの部屋なのです。

Little Mustapha-----でもサンタの孫娘さんはあのトイレの扉からは出てきてないよね。

サンタの孫娘-----皆さんも知ってるように、あの扉は特殊なので自由に使うことが出来ません。腹屁端さんもたまたまトイレの中に移動しただけであって、あの扉を使ったということではないはずです。なぜなら敵の最終目的はあの扉を自由に使うことですから。

マイクロ・ムスタファ-----やっと解ってきました。それで鹿場根さんがそこにいる必要があったのですね。

サンタの孫娘-----そうなのです。ゾンビ世界の転送技術はどこよりも優れていますからね。鹿場根さんにはポータブルの転送装置を持って来てもらっていました。私達がどこにいてもこの部屋が攻撃されたら瞬時に移動できるようになっていたのです。

Little Mustapha-----なるほど。でもサンタの国のサンタの酒は全部飲まれてしまったけど。あの時言ってた毒液とかいうのはなんだったの?

サンタの孫娘-----誰かが腹屁端さんに飲ませた薬によってあの人の体は乗っ取られました。そして地獄の繭、つまりウンサーを使った転送装置を作り始めました。その薬は人の体の構造を完全に作りかえてしまうような強力なものだったようです。そして体を乗っ取られたままここへ来て皆さんを食べようとしていたのです。

Little Mustapha-----それだけ強力なものを中和するためならサンタの酒を飲み干すのも納得かな。


 説明されると、そんなことだったのか、と思えるかどうかは解りませんがいくつかの謎が解けたような気がしました。


サンタの孫娘-----でも気がかりな事が一つあります。実はウンサーについての情報をくれた何者かについて、私達は全く知らないのです。もしかすると私達を助けるフリをして、別の何かを企んでいるとか、そんな事があるかも知れないのです。ですから、みなさんもくれぐれも気をつけてくださいね。


Little Mustapha-----もちろん、気をつけちゃう!…ということで、一件落着ってことなんだけど。サンタの孫娘さんも来たことだし、今日はゆっくりと…。

犬サンタ-----それはいけなんだワン!私達全員だとコじゃないし、この部屋は密なんだワン!

Little Mustapha-----そうは言っても、犬やゾンビは人数に入るの?

サンタの孫娘-----それは解りませんが、実は今日はゆっくりしていられないのです。鹿場根さんに人間世界を案内してあげる約束なんで。

鹿場根-----そうでしたね。いつの間にか日付も変わっていますから、私のここでの役目はオシマイです。

サンタの孫娘-----じゃあ、まずはザウスにでも行きましょうか?

Little Mustapha-----ザウスはもうやってないよ。

サンタの孫娘-----エエッ?そうなんですか?!

Little Mustapha-----なんでザウスの情報だけはアップデートが遅いんだ?

ミドル・ムスタファ-----それよりも、なんでザウスに行きたがるんですかね。

Dr. ムスタファ-----我々には理解し得ないこともあるようだな。

サンタの孫娘-----それなら予定を変更して「海ほたる」ですね。

鹿場根-----ホントですか。そっちも行ってみたかったんです。

サンタの孫娘-----それはよかったです。それじゃあ、みなさん。また会いましょう。


 サンタの孫娘にはちょっとだけ会えたのですが、プレゼントもナシで最後に残ったのは安心して寝てしまった犬サンタ君と犬弟子サンタ君だけ。唯一の楽しみだったサンタの酒も全部飲まれてしまったLittle Mustaphaは余ってる大量の酒を飲みながら、画面の向こうでサンタの酒を飲む他の主要メンバーを見ながら夜を過ごすことになりました。