部屋にゾンビがいるだけでも異常事態ではあるのだが、毎年変な事が起きるブラックホール・スタジオ（Little Mustaphaの部屋）なのでその辺の感覚は麻痺しているのだろう。ところで、最初にあれだけ書かれた女子アナ達はどうなったのだろうか？

　今日はクリスマスでブラックホール・スタジオでもパーティーが始まっているということは、彼女達も夕方のニュースのクリスマス特番のリポーターとして街に繰り出している頃である。ブラックホール・スタジオではマイクロ・ムスタファが心配するまでもなく色々と始まっているのでテレビがつけられる事もないが、ここは特別に画面越しではなく直接女子アナたちの活躍を追うことにする。

　番組の冒頭で最初にスタジオのキャスターから呼ばれたのは人気女子アナのウッチーこと内屁端アナである。

「はい、こちら人気女子アナのウッチーこと内屁端でぇす！みなさん、ここがどこだか解りますかぁ？」

どうしていつも現在地をクイズ形式にするのか？とも思うが、これにスタジオのキャスターが答えても大抵の場合はハズレなのである。

「それは大ハズレ！今私がいるのはですね、人がほとんどいない街なのです。それもそのはずで、普段のクリスマスでも、ここはそれほど人がいる場所でもないので、ステイホームが推奨されている今年のクリスマスに人がいるワケはないのです。見てくださぁい！あたりを見回しても本当に閑散としています。こんな街で何も起きるはずない？って思うかも知れませんが、今年はここから楽しいクリスマスの様子をお届けしたいと思いまぁす！」

内屁端アナはどうして人の全然いない街にいるのか。もしかすると先日腹パンに話していたスゴい事と関係があるのだろうか？

　続いて呼ばれたのは食いしん坊の腹パンこと腹屁端アナ。

「はい、こちら腹パンこと腹屁端でよろしかったでしょうか。ここ数年はクリスマスといえば腹パンがクリスマスマーケットを食べ尽くすというのが定番でしたが、今年はクリスマスマーケットに私達が押しかけて密になるのも良くない、ということで腹パンは事前にクリスマスマーケットに行ってあらかた食べ尽くしてきたのです。そして、これからなのですが、この人の少ないクリスマスに更なる食を求めて街から街へとグルメ探検していきたいと思っているのです」

やっぱり食べる腹屁端アナ。だが今年は少し趣向を変えたのか、あるいはホントに密にならないように配慮したのか、食べ歩き企画となるようだ。

　今は番組冒頭部分ということで、外にいるリポーターが順に呼び出されている最中である。最後に呼ばれたのは人気女子アナの座を狙う美しすぎる亜毛パンこと亜毛屁端アナ。

「みなさん、メリークリスマス！亜毛パンこと亜毛屁端です。みなさん、今日私が来ている場所がどこだか解りますかぁ？」

またしてもクイズ形式だが、これは内屁端アナを意識してのことだと思われる。

「そうなんです！全く人と接することなく、そして食器以外には何にも触れることもなくクリスマスディナーやドリンクなどが楽しめるロボット・レストランなんです！感染症対策が取られるようになるずっと前から、どんなものでも汚いから触りたくないと思って除菌抗菌してきた私達の夢がやっと叶ったような、そんなレストランなんです！今夜は亜毛パンがロボット達と素敵なクリスマスを紹介していきたいと思いまぁす！」

今夜の特番では何かを企んでいそうな二人とその二人に板挟みになっている腹パンの三人がリポーターを務めるようだ。

　夕方のニュース番組のクリスマス特番ということを考えると、亜毛屁端アナのいる場所が一番まともだとも思えるのだが、何が起きるのか誰にも解らないのがクリスマス。この夜に油断して良い人間は一人もいないのである。