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#213 「第2の始まり」 2025-12-25 (Thu)

 ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)でもLittle Mustapha達がテレビ越しに同じ物を見ていました。夢中になって見ていたからかCMになってもまだテレビに釘付けになっています。


テレビ-----最も寡黙な取締官が帰ってきた!ホンビノス恵子が追われる立場に?!「犯人は恵子だ!」豪華共演陣がよく喋る。「恵子、私はあなたを信じているわ」「尻尾を掴んだぞ、ホンビノス」「ギャインギャイン、ギャギャインギャインジャンなの〜!」元袋小路5000・増矢場(マシヤバ)マキ、映画初出演。「麻薬取締官ホンビノス恵子・Ⅱ」私はもう喋らない…。2026年元旦、全国同時上映。同じ劇場でスターウォーズコラボ同時上映のキャンペーン実施中!


Little Mustapha-----あれ、なんでCMなんか真剣に見てるんだ?

ミドル・ムスタファ-----なんかスゴい場面で夢中になってたら、いつの間にかCMで、しかも緊迫してそうな感じだから引き続き夢中になってましたね。

ニヒル・ムスタファ-----だいたい、なんでこんなにCMが長いんだよ。

Dr. ムスタファ-----特番の前ってことで少し長めのCMが入るんだよな。

ミドル・ムスタファ-----そうじゃなくて、ホントにテレビで放送出来ないような状況になってたりしたら恐ろしいですよ。

Little Mustapha-----でも目が手榴弾になってる男だからなあ。

ニヒル・ムスタファ-----それはどういう意味で言ってるのか良く解らないぜ。

Little Mustapha-----手榴弾の威力からすると、ほとんどの人はあらかじめ遠くに逃げてた感じだし、ギリギリウッチーとテレビのクルーが危険かも知れないぐらいだよね。だからといって良いってこともないけど、それよりもなんで爆弾人間なんだ?って感じだよね。いきなり予想外の展開というか。これまでもクリスマスに起きてきたことを考えると予想外の事しかなかったけど、爆弾人間というのはあまりにも唐突というか…。

マイクロ・ムスタファ-----でも、それがかえって恐ろしい気がするのです。あれは本当に爆発するタイプの爆弾人間かどうかも知る必要があると思うのですが。

ミドル・ムスタファ-----それはどういう事ですか?

マイクロ・ムスタファ-----以前のLittle Mustaphaの行動によって時空の混乱は続いているようですが、もしかすると目が手榴弾になっているのが当たり前の次元の人がこの次元に紛れ込んでいるとか、そんなことも考えられます。

Little Mustapha-----そんな次元があるの?といっても、深淵の暗殺者なんて全く人間とは違う形だしなあ。

犬サンタ-----でもそれは恐ろしいような感じがするんだワン。

Dr. ムスタファ-----別の次元の人が紛れ込むと恐ろしいことが起きるのか?

犬サンタ-----そんな感じがするだけだから良く解らないんだワン。

Little Mustapha-----なんだそれは。

犬弟子サンタ-----でも沢山の人が色んな次元から紛れ込むようになったら大混乱は避けられないんだバウ。だから我々はさっきの出来事を慎重に調査するべきだと思うんだバウ。

犬サンタ-----それは素晴らしい意見だワン。さすがは我が弟子だワン!

Little Mustapha-----というか、もう弟子に抜かされてる気もするけどね。

犬サンタ-----そんなことを言うとLittle Mustaphaには低評価をつけてご主人様に報告するんだワン。

Little Mustapha-----えぇ?!…もしかしてここに来る度そんな報告をしてたの?そういうことなら、まだジャーキーはあるからね。いつでも言ってくれたら持ってくるから。

犬サンタ-----よろしいんだワン。

ニヒル・ムスタファ-----そんなことよりも、今起きていることをもう少し心配した方が良いんじゃないか?

Little Mustapha-----そんな気もするんだけど。でもさっきのアレって、ボクらと何か関係があるのかどうか解らないんだよね。恐らくサンタとは関係がないと思うし。でもさっきコマリタが用心しろって言ってたから、テレビは確認しながらパーティーは続けることにするか。


 ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)にあったトイレの扉が異次元への扉だったころとは違って、この部屋に直接恐ろしい物がやって来たりしないので、Little Mustapha達もこういう時に変に慌てることはなくなりました。

 しかし、変なことはすでに起きていて、それがLittle Mustapha達と全く関係がないこともなかったようです。

 CMが終わってクリスマス特番が再開された時にクリスマスマーケットの会場には特に変化はなかったようですが、ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)ではどこからともなく、耳をつんざくほどではないぐらいの大音量で声が聞こえてきたのです。

「ちょっと、なんなのよアンタ達」

どこかで聞いた声ですが、今回は二人の人が同時に同じことを言ったような不思議なウネリのある声でした。


Little Mustapha-----うわ、ビックリした。…その声は恐らく地獄の占い師のカズコだな。

カズコ-----私以外に誰がいるっていうのさ。

Little Mustapha-----それは知らないけど、この声ってコーラスとかかけてる?

カズコ-----さすが、良く解ってるじゃない。アンタがさ、ディストーションをかけたら儲かるっていうのに、実際にやっても全然儲からないし。それでこっちもこのまま引き下がるワケにはいかないでしょ?だからアレコレ調べてマルチエフェクターってのを買ってみたのよ。

Little Mustapha-----もう間違いすぎてて何の話だかも解らなくなってくるけど。元々はゲインを利益と翻訳したのが間違いって話だったんだよ。この場合のゲインっていうのは音声入力の音量って意味で、それを上げすぎると音が歪むだけで利益は上がるワケじゃないってことだったのに。

カズコ-----そういうややこしい説明で素人を騙そうとすると逮捕だよ。

Little Mustapha-----いや、けっこう頑張って解りやすく説明したつもりだけど。…というか、そんなことを話してる場合じゃないんじゃないの?

カズコ-----そうなのよ。アンタが余計な事ばっかり話すから。

Little Mustapha-----というより、マルチエフェクターなんか買うからいけないと思うんだけど。またサ○ンドハウスで買ったの?

カズコ-----それ以外でどこで買うっていうのよ。私は今地獄のクラウドなんだからね。

Little Mustapha-----それが理由になるのかは知らないけど。

カズコ-----そうじゃなくてさ。アンタ達もさっきの見てたでしょ?

Little Mustapha-----もしかして爆弾人間のこと?

カズコ-----そうよ。一年前に変なアレがあったでしょ。AIが作った何とかって。あの時はなんとも思わなかったんだけどさ。ちょっと気になるから調べてみたら、あれって自分で思い付いたものを何でも作れるっていうじゃないの。これは地獄の軍団を復活させるチャンスだと思ってさ。それで存在自体が武器になってるようなスゴい兵隊を作ってみたのよ。

Little Mustapha-----なんだか解ってきた気がするけど。さっきの爆弾人間はカズコが作ったの?

カズコ-----作ったって言っても、あれじゃあ全然思ってたのと違うのよ。しかも結局爆発もしなかったみたいだしさ。だから、そのままにしておくのも危ないから削除して、新しいのを作ろうと思ったのよ。そうしたら、これ以上は有料になるってことじゃないのよ。そんなことでいちいち金払ってるより、誰かを雇った方が早いってことでね。AIなんて結局は金のためにやってることなのよね。

Little Mustapha-----あなたがそんなことを言うのはちょっとアレですけど。その前に、どういう指示を出したらあんな目が手榴弾になってるみたいな気持ち悪い爆弾人間が出来るのか?って感じだけど。

カズコ-----そりゃ「いざとなったら存在自体が武器になるような最強の兵士を作れ!」ってさ。そうしたらむこうはそれなりのものを作ってくれるはずでしょ。それがあのざまなのよ。

Little Mustapha-----まあ、それじゃあ仕方ないと思うけど。それで、結局この会話は何なんですか?

カズコ-----何って、AIが酷かったのが気に入らないから誰かに話したかっただけよ。まあ、そろそろ行くけどさ。アンタ達もAIにばっかり頼ろうとしたら失敗するから気をつけるのよ。それじゃあね。


ニヒル・ムスタファ-----なんだったんだ今のは?

Little Mustapha-----今の話だけだとカズコが良い人かも知れないとか思ってしまいそうだよね。

ミドル・ムスタファ-----それよりも、カズコが使ったAIって、去年のクリスマスにここへやって来たサンタを生成したAIと一緒なんですかね。

犬サンタ-----それは興味深い疑問なんだワン。

犬弟子サンタ-----我々もそのAIについてはずっと調査をしていたんだバウ。そのようなAIのサービスを提供するところがあるということはすでに解っているんだバウ。問題なのはその利用者なんだバウ。去年の騒動を引き起こした利用者を突き止めようとしているけど、どうしても見つからないんだバウ。

Little Mustapha-----カズコでないことは確かだと思うけどね。もっと的確な指示を与えないと。プロンプトっていうの?あれって。

ニヒル・ムスタファ-----良く知らないが、オレ達はあんまり最近のAIの恩恵にあずかってないタイプだからな。

Little Mustapha-----そうなんだよね。しかもAIが流行ってるせいでメモリの値段が高騰してたりしてさ。その割にはまだそれほど役に立ってる感じがしないのが問題なんだよね。

マイクロ・ムスタファ-----あの、そんなことよりも、ちょっと良いでしょうか。


 Little Mustaphaがどうでも良いことでAIに腹を立てて来たところでマイクロ・ムスタファが何かに気付いたようです。マイクロ・ムスタファが指さした方を見てみんなもそれに気付いたようです。


一同-----あー!電話がかかってきてないのに留守番電話機にメッセージが残されていることを示すランプが点滅している!(んだワン!)(んだバウ!)


 みんな一斉に驚きました。