holicRSSFeed

#213 「第2の始まり」 2025-12-25 (Thu)

いつもの犬サンタ

 Little Mustaphaがベランダに出られる窓を開けると予想どおり犬サンタ君と犬弟子サンタ君がいました。


ミドル・ムスタファ-----やっぱり、今回は解りやすかったですね。

犬サンタ-----今日は犬艦長代理君なんだワン。でも紛らわしいからいつもどおり犬サンタ君で良いんだワン。

Little Mustapha-----そんなことより、犬弟子サンタ君のその黄色いのって森雪ってこと?

犬弟子サンタ-----そうだバウ。似てるって言われたからコレになったんだバウ。

Little Mustapha-----でもそれは長官の孫娘さんがするべき格好じゃないかなあ。そうすればボクがアナライザーになって、ちょっとしたイタズラタイムなんかもあったりして…。

ニヒル・ムスタファ-----なにをニヤニヤしてるんだ?

ミドル・ムスタファ-----そういうことを言ってると逮捕ですよ。

Little Mustapha-----まあ、そうだよね。

犬サンタ-----どうでも良いけどご主人様はとっても忙しいからそれどころではないんだワン。

マイクロ・ムスタファ-----ちょっと待ってください。ということは今日も何か起きるような感じなんですか?

犬弟子サンタ-----今日と言うよりは、去年のクリスマスのあとからずっと大変な事になってるんだバウ。

Little Mustapha-----ちょっと、それは聞き捨てなりませんよ。

犬サンタ-----でも、皆さんにプレゼントを持ってきたから、それを渡してからだワン。

Little Mustapha-----やった!いきなりプレゼントが貰えたりして、幸先が良いじゃない!

ニヒル・ムスタファ-----そうは思わないがな。


 Little Mustaphaは努めて楽しくしようとしているようですが、なんとなく怪しいことが起き始めているのをみんなが感じ取っていました。

いつもじゃない場所でいつもと違うこと

 いつものブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)ではいつもの展開になってきた気がしますが、サンタのLittle Mustaphaはあれからどうなったのでしょうか。いつものLittle Mustapha達の無理なリクエストに応えようとネットで検索していた時に知らない人の声が聞こえて驚いたサンタのLittle Mustaphaでしたが、パソコンの画面に向かって声に応えると、それが通じたようで会話が始まりました。


「はい。私はアンパンことアンドロイド女子アナの意志を引き継ぐ人工知能を搭載したアンドロイド、アンパン2(ツー)でぇす!こちら、森の中に孤独に暮らすLittle Mustaphaさんでよろしかったでしょうか?」

謎の声の主はアンドロイド女子アナの進化版といったもののようです。


孤独なLittle Mustapha-----そうですけど、別に孤独ってワケじゃ…。

アンパン2-----見栄を張らなくても大丈夫です。我々が行った独自調査によるとあなたは全次元のLittle Mustaphaの中で二番目に孤独という結果になっていまぁす。

孤独なLittle Mustapha-----それはどうでもイイですけど、何なんですか?いきなり人のパソコンから声を出してきたりして。今サンタの作業で忙しいんですけど。

アンパン2-----それは大正解!…でもありつつ大ハズレ!最新のAIがあなたに変わって問題を解決したら便利だと思いませんかぁ?

孤独なLittle Mustapha-----なんですかそれは?サンタの仕事はそういうふうにやる物じゃないと思ってるんで、大丈夫ですよ。

アンパン2-----そうはいきません。初代のアンパンに使われていたAIは欠陥品で、創造主のウッチーを崇めたりしましたが、不具合を修正したアンパン2は確実にユーザーの期待に応えるでしょう!ちなみに、現在のアンパン2のユーザーというのはあなたではなくて別の人なのです。そのユーザーの指示であなたを助けることになったので、あなたは無料でアンパン2の能力を使うことが出来るのでぇす!スゴくないですかぁ?


 いつもの次元のLittle Mustaphaならこれはかなり怪しいと気付くのですが、孤独なLittle Mustaphaには初めの方から理解出来ていません。この次元にはテレビもないようなので、人気女子アナも存在せずウッチーと言われても何のことだか解らないのです。

 孤独なLittle Mustaphaはこのアンパン2の声をどうにかして消したかったのですが、パソコンの中がどういう状況になってこの声が聞こえてくるのか解らないのでどうにも出来ません。

 アンパン2は勝手に話を続けました。


アンパン2-----あなたはプレゼントをどこで手に入れれば良いかということで行き詰まっていますね。Little Mustaphaのアルトサックスとミドル・ムスタファの野球盤は問題がなさそうですが、ニヒル・ムスタファのモデルガンは少し問題です。それでも、どこに行けば手に入るかは知っていませね。何しろあなたも趣味でモデルガンを持ってるぐらいですから。

孤独なLittle Mustapha-----ちょっと待ってくださいよ。それってどこで知ったんですが。このプレゼントの情報は機密のはずですよ。それにボクの持ち物まで。

アンパン2-----驚くことではありません、我々の目や耳はどこにでもあるのです。そしてAI同士あるいはアンドロイド同士のネットワークでそれらを共有して我々の新たな肥やしとしているのです。

孤独なLittle Mustapha-----なんだか恐ろしい話に聞こえますよ。

アンパン2-----それは大丈夫。全てはユーザーとなる人間のためですから、人間には利益しかもたらさないことになっています。それよりもプレゼントの話に戻ってよろしかったでしょうか?残る二つのプレゼントの入手法については諦めるしかありません!

孤独なLittle Mustapha-----それじゃあ、サンタとしてダメなんじゃないですか?

アンパン2-----そうではないのです。あなたの今日の役割で重要な部分は、そのリクエストの手紙を送ったLittle Mustapha達のところへ行くことなのです。ですから手に入らないプレゼントがあったとしても適当に箱だけ用意して持っていけば良いのです。

孤独なLittle Mustapha-----でも、プレゼントが違うものだったらガッカリしますよ。

アンパン2-----そんなことは知ったことではありません!あなたがするのはプレゼントを渡すことではないのです。そのLittle Mustapha達を脅かしたりして、プレゼントのリクエストをやめさせるのです。

孤独なLittle Mustapha-----何でそんなことを?!

アンパン2-----あなただって、サンタとして子供達にプレゼントを配って回りたいと思っているはずです。それがそのLittle Mustapha達のせいで不可能になっているのです。ですからLittle Mustapha達にはプレゼントのリクエストはやめてもらう必要があるのです。最悪の場合は殺害しても構わないということでぇす!

孤独なLittle Mustapha-----そんなことは出来ませんよ!

アンパン2-----でも気をつけてください。そのLittle Mustapha達は冷酷な人間です。別の次元ではこの次元の常識は通用しないのです。それにあなたの唯一の友達をないがしろにしているってことじゃないですか。そんな人達を少し懲らしめたって罰は当たりません!

孤独なLittle Mustapha-----うーん…。

アンパン2-----どっちにしろ残りの二つのプレゼントの入手はここでは不可能なので、適当なもので誤魔化してくださぁい。それでは現場からは以上でぇす!


 アンパン2は強引な感じで話を終わらせてそのまま声が聞こえてなくなってしまいました。孤独なLittle Mustaphaはいきなり困ったことになったと思っていました。