何も知らない、いつものLittle Mustapha達
Little Mustapha-----サンタだけじゃなくて犬サンタ君からもプレゼントが貰えるなんて、これは素晴らしいクリスマスだよね。
ミドル・ムスタファ-----あんまり無理に明るくしたら反動で落ち込みが激しくなりますよ。
Little Mustapha-----無理なんかしてないやい!
ニヒル・ムスタファ-----喋り方が無理してるし。
Dr. ムスタファ-----まあでも悪いことが起きると決まったワケじゃないだろう。まずは犬サンタ君からのプレゼントをいただいてみてから、ってことじゃないか。
犬サンタ-----そうなんだワン。良く解らないけど無理しないでもプレゼントを貰ったら誰でも嬉しいんだワン。それじゃあプレゼントだけど、出すのが大変だからこのカバンから出して欲しいんだワン。
ミドル・ムスタファ-----ええと、誰が出しますか?
Little Mustapha-----まあ、ここはボクがやることにするよ。それじゃあ、カバンを開けて…。このMacBook Proはプレゼントじゃなくて自慢するために入ってるんだよね。
犬サンタ-----自慢じゃなくてちゃんと使いこなしてるんだワン。プレゼントは多分その下にあるんだワン。
Little Mustapha-----うん、あった。もうみんな大体解ってると思うけど。プレゼントはサンタの国のサンタの酒だね。
犬サンタ-----そうだワン。それだワン。
一同-----…。
犬サンタ-----どうしたのかワン?みんなプレゼントだから嬉しくならないといけないんだワン!
Dr. ムスタファ-----嬉しい事は嬉しいんだがなあ…。
Little Mustapha-----これが出てきたってことは、サンタからのプレゼントの代わりって気がするんだよね。
犬サンタ-----良く解ったんだワン。偉いんだワン!
犬弟子サンタ-----やっぱり最初に事情を説明してからそれを渡した方が良かったと思うんだバウ。
犬サンタ-----でもまだサンタが来ないと決まったワケじゃないから落ち込むのは早いんだワン!
犬弟子サンタ-----でもご主人様は多分サンタは来ないって言ってたんだバウ。それは結構前から解ってしまってたんだバウ。
Little Mustapha-----もしかして、プレゼントのリクエスト用紙がどこにもなかったりしたのと関係があるの?
犬サンタ-----実はそうなんだワン。
ある程度予想はしていたのですが、いきなり暗雲が立ちこめるブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)です。やはりリクエスト用紙が手に入らないのには理由があったようで、その事について犬サンタ君が説明をするようです。
犬サンタ-----去年のクリスマスにAIの生成したものがこの世界に出現したのは知ってると思うんだワン。
ニヒル・ムスタファ-----AIっぽい「いかにも」な感じのやつな。
犬サンタ-----我々管理局では現在の時空の混乱の中で起きた偶然だと思っていたんだワン。しかし実際にはもっと恐ろしいことが起きていたんだワン。去年はここにもAIの生成したサンタがやって来たけど、実はAIによって本物のサンタのネットワークに異常が発生して壊滅状態になってしまったんだワン。
犬弟子サンタ-----サンタのやっていることは子供にも理解出来るように単純に見えるようになっているけど、実際には複雑なシステムの上に成り立っているんだバウ。それが修復不可能な状態になった場合は緊急時プロトコルによってサンタ達の活動は一時的に停止されるんだバウ。
犬サンタ-----管理局もそれを知ってやっとことの重大さに気付いたんだワン。そして調査をすると、AIの生成物は偶然時空間に紛れ込んだのではなくて、何者かが意図的にやったことが解ってきたんだワン。でもそうすることの目的も不明だし、犯人を見つけるのは至難の業なんだワン。
Little Mustapha-----なんてことだ。だからリクエスト用紙がどこにもなかったのか。でも一時的ってことはシステムが復旧したらサンタはプレゼントを持ってくるってことでしょ?今日中に何とかなったら大丈夫じゃない?
犬サンタ-----一年かけて解決してないんだから今日直るワケはないんだワン!
犬弟子サンタ-----でも希望がないワケじゃないんだバウ。緊急時プロトコルが発動されると、基準を満たした人達の中からランダムに代理のサンタが選ばれるんだバウ。ただしリクエスト用紙の配布も中止されているから、実際にその代理のサンタがプレゼントを配ることはあまりないけど、もしもリクエストが届いたとしたらプレゼントを持ってきてもらえるかも知れないんだバウ。
Little Mustapha-----え!ホントに?!やっぱり諦めずに手書きのリクエストを送っておいて良かったなあ。
ニヒル・ムスタファ-----ホントに上手く行けば良いけどな。その代理っていうのは信用出来るのか?
犬サンタ-----ええと…、厳しい審査があるし多分大丈夫なんだワン。
ミドル・ムスタファ-----なんか曖昧な答え方ですね。
犬サンタ-----実をいうと、基準を満たした人達のリストの中にあなた方の名前もあったりして、管理局としてはそれはマズいということでサンタの方に掛け合ってリストから外してもらったりしたんだワン。
Little Mustapha-----ということは…、どういうことだ?
ニヒル・ムスタファ-----オレ達がサンタになったらどうなるかは大体想像がつくからな。
Little Mustapha-----その前に、それって本当に厳しい審査なの?
犬弟子サンタ-----あなた方はギリギリ合格ってことだったんですが、総合的に見て問題なしということになったみたいだバウ。
Dr. ムスタファ-----とにかく希望は残された、ってことだな。
犬サンタ-----そうなんだワン。だからまたみんなで楽しくクリスマスするんだワン。
Little Mustapha-----まあ、そうだね。まだ日付が変わるまでは時間があるし、黙って待ってたら疲れちゃうからね。ここで希望を込めて乾杯だな。
ミドル・ムスタファ-----そうしましょうか。
Little Mustapha-----それじゃあ、もう一度コップに酒を汲み直して。せーの…!
一同-----メリークリスマース!(だワン!)(だバウ!)
本当はマイクロ・ムスタファが「ちょっと待ってください」と言いたかったのだが、それよりも前に乾杯が始まってしまったようです。リクエスト用紙がなかったことの原因は解りましたが、マイクロ・ムスタファが気にしていることは他にも沢山あるようです。