Little Mustaphaとモモルダア捜査官は駅近くの路地にあった扉を使ってLittle Mustaphaのいるべき世界へ戻ってきました。彼らが扉を通った瞬間から、あるいはそれ以前からと言った方が良いかも知れませんが、そこに扉などなかったような不思議な感覚がありました。そして、いきなり道に現れたはずのLittle Mustapha達を見ても誰も驚くことはなく、前からそこにいた人として認識されているようでもありました。ただし、モモルダア捜査官の服が後ろ前なんじゃないか?と思って、彼のことをチラッと見ながら通り過ぎる人は何人かいたようです。
モモルダア-----ああ、そうでした。ここに来るんだったら、もっと前と後ろが解りづらい服を着てくるべきでした。まあ、私は用が済んだらすぐに帰りますからどうでも良いんですけど。
Little Mustapha-----そうそう、早くしましょうよ。早くにボクが犯罪者でないと解れば、もしかしてギリギリでプレゼントのリクエストが受け付けられてプレゼントが貰えるかも知れないからね。ところで、ボクはなにをすれば良いの?
モモルダア-----これからある男のところへ行きます。その男はサンタを人質にして空き家に立て籠もっていますが、我々は転送装置で移動するので、そこに行くのには問題はありません。
Little Mustapha-----うん…。というか、それだけ?
モモルダア-----そんなところですが。
Little Mustapha-----いや、それだとボクがいなくてはいけない理由が解らないんだけど。
モモルダア-----ああ、気付きましたか。
Little Mustapha-----気付きますよ、そりゃ。
モモルダア-----これはすこし複雑な話になりますけどね。実はその犯人は私達の世界のLittle Mustaphaなんです。
Little Mustapha-----ということは、ボクとは首と体の向きが違うボクがあなたの次元にいるってことなの?
モモルダア-----そうです。あなたはさっき、私に似た人がこの次元にいると言ってましたね。それと同じことです。私の世界のあなたがどういうワケかコッチの世界でサンタにプレゼントが貰えるということを知ったようなのです。恐らく去年あなたがクリスマスにやったことが原因だと思いますが。それはともかく、私の次元のLittle Mustaphaのところへ正確に転送されるためには、あなたの生体情報が必要なのです。
Little Mustapha-----そうなのか、と言いたいところだけど、良く解らないですよ。
モモルダア-----転送装置に似た人間を探させると思ってください。見た目や性格は全く違うとしても、違う次元の同じ人物の生体情報は似ているのです。あなたの情報を転送装置が読み取って、そしてその情報と似ている人のいる場所へ転送してもらうのです。
Little Mustapha-----まあ、ちょっとは解ってきたかな。
モモルダア-----じゃあ行きましょうか。私達が転送されたら私が犯人である方のLittle Mustaphaを逮捕して、そのまま私の次元へ戻ります。そのあとは、まあ上手くやってください。それじゃあ行きましょう。
Little Mustapha-----ん!?ちょっとまって…
Little Mustaphaは「それは何かおかしくないか?」と思ってモモルダア捜査官を止めようとしたのですが、モモルダア捜査官はすでに転送装置のスイッチを入れてしまったようです。次元の狭間からこの世界へ現れた時と同じように、誰にも気付かれることなく二人の姿は見えなくなりました。
ブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)では、長官の孫娘さんが何が起こったのかを説明したところでした。でもどうしてサンタじゃなくて、後ろ前人間のLittle Mustaphaが転送されたのかについての原因は解らないようでした。
ミドル・ムスタファ-----あの恐ろしい人がLittle Mustaphaと同じだなんて信じられませんね。
犬サンタ-----後ろ前人間はみんな恐ろしいから、それがLittle Mustaphaだとしても恐ろしくなってしまうんだワン。
ニヒル・ムスタファ-----でも別の次元に同じ人がいるってことは、オレ達の別バージョンもいるってことなのか?
長官の孫娘さん(通信機)-----理論的にはそうなりますが。しかし様々な理由で全ての次元に同じ人がいるということにはならないのです。
Dr. ムスタファ-----十人十色というやつだな。
ニヒル・ムスタファ-----それは…、合ってるかと思いそうになったけど、全然違うよ。
ミドル・ムスタファ-----そんなことよりも、サンタ君は大丈夫ですかね。さっきの救出作戦が失敗したことで後ろ前のLittle Mustaphaが怒ってたりすると危険だと思うんですけど。
長官の孫娘さん(通信機)-----テレビでは何も言ってませんし。それに気性は荒くても後ろ前人にも分別はあります。下手なことをすれば警察が突入してくるということも解っているでしょう。
ニヒル・ムスタファ-----そうなのか。でもさっきのアレを見ると、そんなに冷静な判断が出来るとは思えないな。
Dr. ムスタファ-----まあ、馬子にもいしょ…。
Little Mustapha-----ちょっと待ってよ!それじゃあ、最終的にボクが犯人ってことになるじゃん!
一同-----…。
Little Mustapha-----あれ?!ここはボクの部屋だ…。
一同-----うわー!Little Mustaphaが急に現れた(んだワン)!
ミドル・ムスタファ-----ちょっと、いつの間に戻ってきたんですか?
Little Mustapha-----解んないけど、多分、今?
ニヒル・ムスタファ-----それよりも、これまで何があったんだ?
Little Mustapha-----えーっと、説明するのは面倒なんだけど。最後のところだけを話すと、モモルダアっていう別の次元から来た捜査官と一緒に凶悪犯のLittle Mustaphaを逮捕するために転送装置を使ったんだけど、そうしたらボクはこの部屋にいた、って感じかな。
犬サンタ-----そこでも転送装置に不具合が出たってことだワン。
長官の孫娘さん(通信機)-----思った以上に深刻な状況みたいね。
Little Mustapha-----あ、その声はサンタの孫娘さん改め長官の孫娘さん!忙しくてもボクらのためにリモートでパーティーに参加…って思ったけど、その前にみんなはなんでここにいるんだ?今日はパーティー中止にしたはずだけど。
ニヒル・ムスタファ-----パーティーをしに集まったんじゃないんだぜ。まあ、最初はパーティーをするのかと思ってたんだが。
ミドル・ムスタファ-----色々と複雑そうなんですが、大変なことになってるみたいなんですよ。でもLittle Mustaphaがここにいるってことは、その中の一つは解決ってことですかね。あとはサンタ君を助けることが出来れば良いのですけど。
長官の孫娘さん(通信機)-----転送装置が上手く機能しない状況ですから、かなり難しい事になるかも知れません。
転送装置の不具合で偶然にもブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)に戻ることが出来たLittle Mustaphaですが、まだ喜んで良い状況ではなさそうです。