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#199 「ENTER/EXIT」 2022-12-24 (Sat)

 Little Mustaphaは誘拐されたといえば誘拐されたようですが、カズコは命を守るためとも言っていました。何が起きているのか良く解りませんが、主要メンバー達はどうなったでしょうか?

ニヒル・ムスタファ-----やっぱりまだテレビは早かっただろ。

ミドル・ムスタファ-----そうですね。何かが解るかもと思ったんですが、昔のドラマの再放送じゃ意味が無いですね。

Dr. ムスタファ-----やっぱりテレビをつけるタイミングはマイクロ・ムスタファに決めてもらわないとな。

マイクロ・ムスタファ-----私が決めてたワケではないですが。でも今は何をすべきか全く解りませんね。

ニヒル・ムスタファ-----何かが起きるまで待ってないといけないのか?なんだか精神的に厳しいな。

Dr. ムスタファ-----まあ、やることがないなら仕方ないな。待ってるしかないって言ってもな。いつもみたいに飲み食いしてたら時間は早く過ぎていくんだが。Little Mustaphaはなんで何も用意してなかったんだ?

ミドル・ムスタファ-----そうですね。パーティーを開催することに関しては乗り気って感じでしたけど。準備するよりも前に誘拐されたんですかね。

犬サンタ-----それはちょっと違うんだワン。実はみなさんに招待のメッセージを送ったのはご主人様だったんだワン。

ミドル・ムスタファ-----長官の孫娘さんが?なんだ、いつもと書き方が違うと思ったらそういう事だったんですか。どうしてそんなことを?

犬サンタ-----それは去年のクリスマスにLittle Mustaphaが余計なことをしたからいけないんだワン。あれ以来みなさんの知らない世界では大混乱になっていて、今何が起きているか把握するのも難しい状態になっているんだワン。それと同時にこの部屋にも危険が迫ってるかも知れないけど、我々もこの部屋だけに集中できない状態だから、みなさんで集まって協力してなんとかして欲しいって事なんだワン。

ニヒル・ムスタファ-----そうなのか。でもLittle Mustaphaがいないんじゃなあ。

Dr. ムスタファ-----それから、一つ気になることもあるんだが…。

犬サンタ-----なんだか先生がマイクロ・ムスタファみたいな言い方だワン。電話のランプは点滅してないワン。

Dr. ムスタファ-----そうじゃなくてね。これはみんな気にしてるはずなんだが。その、そっちの世界では色々と起きているようだが、サンタクロースはちゃんと営業しているのかどうか、ってことをね…。

犬サンタ-----それは心配いらないんだワン。新しいシステムが出来て、将来の犯罪者にはプレゼントを渡さなくて良くなったし、サンタの業務は逆にスムーズになってるって話だワン。

ミドル・ムスタファ-----Little Mustaphaには悪いですが、ちょっとホッとしましたね。

ニヒル・ムスタファ-----犯罪者に同情はいらないぜ。

一同-----ハッハッハッハ…(だワン!)


 クリスマスらしくみんなで笑ったのですが、ここは笑うべきじゃなかったかも知れない、とみんなが思って、逆に少し暗い雰囲気になってしまいました。

 そのころ犯罪者のLittle Mustaphaは。


Little Mustapha-----うわぁ、なんだこのスクリプトは!



Little Mustapha-----…。うわぁー!なんだこのスクリプトは!



Little Mustapha-----あれ?コマリタはいないのか…。

コマリタ-----ご用件はなんでしょうか?

Little Mustapha-----ああ、そうか。コマリタって呼ばないと反応しないんだっけ。

コマリタ-----私はコマリタ・ナラ・ズイルベー!ズイ・ズイ・ズイルベー!

Little Mustapha-----それはどうでもイイんだけど。いまパコリタ・ナラ・ズイルベー・Zeroの謎のファイルを開いてみたら、もの凄い大量のIF文で作られているスクリプトだったから驚いたところなんだけど。これは何?

コマリタ-----ご想像どおり、そのスクリプトは全てIF文で書かれているようです。

Little Mustapha-----すごいな。まるでボクがプログラムとかを始めた頃に書いてたスクリプトみたいだけど。それにしても、これは何行あるんだろう?良く見たらファイルサイズも1ギガバイトを越えてるし!もしかして、これってコマリタがこのパコリタ・ナラ・ズイルベー・Zeroのコンピュータを通じて会話するためのスクリプトだったりするの?

コマリタ-----それは大ハズレ!私の人工知能プログラムをそのような下等なコンピュータで動かすことは不可能なのです。私に関する全ての処理は極秘サーバ上で行われています。今私が使っているのはそのスピーカーだけです。

Little Mustapha-----じゃあ、誰がこんなスクリプトをここに保存したんだろう。この部屋はボクの部屋の完全な複製って言ってたのに、余計なものがあったら完全じゃないよ。

コマリタ-----この部屋は作成された時から変更された形跡はありません。よってそのファイルは、この部屋の作成者「カズコ」という人によって作られたものでしょう。

Little Mustapha-----カズコという人?…ということはコマリタに指示しているユーザーというのはカズコではないの?

コマリタ-----そのようです。

Little Mustapha-----なんだ、流れからしてカズコが雇い主だと思ったのに。じゃあ、コマリタが仕えているユーザーっていうのは誰なの?

コマリタ-----それを教えることは許可されていません。

Little Mustapha-----命を狙われているとか言われてるんだし、そういう不安になることはやめて欲しいんだけど。

コマリタ-----では、あなたに危険が迫っていることが解ったら知らせますね。

Little Mustapha-----そういう事ではないけど…。まあイイか。それよりも、さっきのスクリプトって何が書いてあるの?

コマリタ-----この部屋の管理をするもののようです。窓やドアの状態を調べたり、実際に開けたり閉めたりすることが出来るようです。その他にもこの部屋をこの空間に安定して存在させるための命令が全てIF文で書かれています。

Little Mustapha-----全部IF文じゃ効率が悪いんじゃないの?というか書くのだって大変そうだし。

コマリタ-----人間が書くとそうなりますが、カズコという人はコンピュータのような存在なので、機械的に大量のIF文を書くことが出来たようです。もちろん処理の効率という面では良くはありません。

Little Mustapha-----そういえば、カズコは昔メールアドレスの事も良く解ってなかったし。頭脳がコンピュータになっても結局は威圧感だけでなんとかするタイプなんだな…。


 最後のLittle Mustaphaの言葉は質問でもなければ、何かを頼んだワケでもないのでコマリタは反応しませんでした。Little Mustaphaはそこで自分が話していた相手が機械だったことを思い出して少し寂しい気分になりました。