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#199 「ENTER/EXIT」 2022-12-24 (Sat)

 本物のブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)では色んな意見が飛び交っているのですが、偽のブラックホール・スタジオ(偽のLittle Mustaphaの部屋)にいるLittle Mustaphaはそんなことは知らずにパコリタ・ナラ・ズイルベー・Zeroの新機能を作っていました。しかし、これを作っても本物の自分の部屋にあるパコリタ・ナラ・ズイルベー・Zeroは元のままなので、ここで新機能を作る意味が無いことに気付いてやることがなくなっていたところでした。


Little Mustapha-----コマリタ!

コマリタ-----なんでしょうか?

Little Mustapha-----ここにある留守番電話機って使えるの?

コマリタ-----ここにあるものは全て本物と同じように出来ているようです。

Little Mustapha-----そうじゃなくて、電話をかけて他の電話と話が出来るか?ということだけど。

コマリタ-----それは私が知るわけもないので、実際に試してみたら良いと思いまぁす!

Little Mustapha-----ミョーに明るく答えてくれたけど、内容は半ギレみたいな感じだよね。

コマリタ-----そのようです。

Little Mustapha-----そうですか。


 Little Mustaphaはヒマになってしまったので電話で遊ぶことにしたようです。番号を押してみると意外なことに電話をかける時のあの音がしてきました。かなり時間が掛かりましたが、そのあとで呼び出し音も聞こえてきました。

 しかし電話には誰も出なかったので、そのまま留守番電話になりました。


Little Mustapha-----フッフッフッ…!みんな、集まっているかね?


 Little Mustaphaが電話をかけた先は本物の自分の部屋だったようです。そして懐かしいネタで恐怖のメッセージを残そうとしたのですが、そこで今年はクリスマスパーティーを中止にしたことを思い出しました。

 せっかく電話で遊ぼうとしたのにこれでは意味がないとLittle Mustaphaは思いました。こうなったらふて寝するしかないと思ったLittle Mustaphaはその場で横になってしまいました。

 それからしばらくすると。


コマリタ-----誰かがやって来るようです。

Little Mustapha-----ん?!なんだ?誰かって誰?

コマリタ-----まだ解りませんが、こちらに向かってきているようです。

Little Mustapha-----どうやって?この部屋の外って何もないんだよ。何もないっていうのは、歩く地面もないっていう意味の、本当の意味での何もない空間なんだよ。

コマリタ-----今は地面があるので歩けるようです。

Little Mustapha-----ええ?!その前に、誰かが来たことを知らせてくれた、というこは危険が迫っているってことなの?

コマリタ-----まだ解りませんが、もしものことを考えて報告しました。もうすぐその誰かがここに到着します。あと10メートル。…8メートル。危険だと思ったら逃げてください。

Little Mustapha-----そんなに近くにいるの?!というか、逃げる場所なんてないし。

コマリタ-----4メートル。…あっ、これは大丈夫です。

Little Mustapha-----なにが?


 にわかにピンチが訪れたようですが、突然のことで何も出来ないままLittle Mustaphaはアタフタしているだけでした。そこで部屋のドアをノックする音が聞こえてきました。Little Mustaphaはギョッとしてドアの方を見つめていました。


ドアの外の人-----開けてください。そこから出してあげましょう。

Little Mustapha-----そ、そんな嘘には引っかからないよ。暗殺者だってことは解ってるんだからね。

ドアの外の人-----ああ、まだ私が誰だか聞いていないようですね。

Little Mustapha-----それはどういう事だ?コマリタ、この人は誰なの?

コマリタ-----どうやら私の雇い主が来たようです。

ドアの外の人-----これで解りましたね。ドアを開けてください。

Little Mustapha-----それだけの理由じゃ開けられませんよ。それに去年とは別だけど同じコマリタに殺されそうになったんだし。

ドアの外の人-----そうなんですか。これだから外部のサービスは使いたくなかったんだ…。

Little Mustapha-----どうでも良いけど。ボクはここにいる限り安全だって言われてるんだし、開ける気はないよ。

ドアの外の人-----そこが安全だと言ったのは誰ですか?

Little Mustapha-----カズコだけど。

ドアの外の人-----カズコ…。なるほどあの人がやりそうなことだ。あなたはカズコの言うことは信じるのですか。

Little Mustapha-----今いきなり現れた人に比べると、何回か会ったことのある人の方が信頼できそうな感じはあるけど…。

ドアの外の人-----確かにそこにいれば安全かも知れません。しかし、現実の世界で何が行われようと、あなたがそこにいる限り、あなたは何もすることが出来ない。

Little Mustapha-----どういうこと?

ドアの外の人-----あなたが犯罪者にならないことを証明して、再びプレゼントをリクエストする権利を取り戻すことが不可能になるということです。

Little Mustapha-----うぅ…。


 困ったことになりました。このドアの外にいる人を信じても良いものか。ここにいれば安全なのは確かですが、そのためにプレゼントの権利を永遠に失ってしまいそうな感じも出てきてしまったのです。

 こういうことはコマリタに相談してみようかとも思いましたが、コマリタを雇っているのは外にいる人なのでした。コマリタの答えも信用できそうにないので、ここは自分で決めるしかなさそうです。

 ほんの数秒の間でしたが、Little Mustaphaの頭の中ではイエスとノーが数え切れないほど繰り返されました。そして、これはイエスとかノーで判断できることではないな、ということにも気付いて、さらに数秒間考えた末に、Little Mustaphaは思いきってドアを開けたのです。