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#199 「ENTER/EXIT」 2022-12-24 (Sat)

主要メンバーの皆様へ

 先日は一時の気の迷いからクリスマスパーティーの中止を決定してしまい、皆様に迷惑をかけたこと申し訳ございませんでした。

 時間が経って冷静に考えられるようになると、プレゼントを貰えないのは私だけということが解ってきました。

 私がプレゼントを貰えないのはすでに解っていますが、パーティーを開催しなければ皆様までプレゼントが貰えなくなってしまうことも考えられます。

 これまでやって来たことを考えると、私は皆様がプレゼントを貰えるだけでも満足です。ですので、もしもまだ予定などが入っていないのなら、皆様でまた私の部屋に集まってクリスマスパーティーを開催したいと思っております。

 皆様が来るのを楽しみに待っています。

 少し前にパニック状態の日本語でLittle Mustaphaがクリスマスの中止を決定したのですが、それから数日後に今度はまたビミョーにLittle Mustaphaらしくない内容のメッセージが主要メンバーの元へ届きました。

 文体がいつもと違うのはクリスマスを中止にしたことを反省している、というアピールなのかも知れませんが、元々はクリスマスパーティーがしたくてたまらない主要メンバー達なので、文体がおかしいなんてことはどうでも良かったりするのです。

 クリスマスイブになったら、全員が勇んでブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)へやって来るに違いありません。

 街に流れるクリスマス用のBGMを聞きながら過ごす12月は時の進むのが速くて、気がつけばクリスマスイブになっていました。誰もが浮かれるこの日に、暗い暗い闇の中へ沈み込んでいくような気分の人がいるとしたら、クリスマスが来る前に不戦敗を知らされたLittle Mustaphaぐらいしかいません。将来犯罪者になるという理由で、彼はサンタの運営事務局からプレゼントのリクエストを拒否されたのでした。

 だいぶ陽も傾いてきて部屋の中は真っ暗になってきました。本来なら部屋の明るさを感知して自動で照明を点けるパコリタ・ナラ・ズイルベー・Zero(Little Mustaphaが作っているデジタル・アシスタント)の新機能が完成しているはずなのですが、サンタからプレゼントが貰えないことが解ると全てのやる気を失ってしまったのです。誰かが電気を点けない限り部屋は暗いまま。

 Little Mustaphaは先程から仮眠という名のふて寝をしているので、彼が起きなければこの部屋は永遠に続く闇と静寂に包まれたままなのです。

 夕方になって外が真っ暗になると希望に満ちた人達、つまりLittle Mustapha以外の主要メンバーが集まりました。今年は外で一度全員集まってからブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)へ向かうことにしたようです。なぜなら一人だけ早めに着いてしまったりすると、すでにプレゼントが貰えないことが解っているLittle Mustaphaと気まずい感じになりかねない、と誰もが思っていたからです。

 実際にそういう意見を明確に言った人はいないのですが、なんとなくそんな雰囲気があったので、なんとなくLittle Mustaphaの家の最寄り駅に集合ということになったようです。

 それはどうでもイイですが、全員揃ってから主要メンバー達がブラックホール・スタジオ(Little Mustaphaの部屋)へやって来ました。例によってドアにカギは掛かってないので主要メンバー達は勝手に中へ入ってきました。


ミドル・ムスタファ-----あれ、誰もいないですね。

ニヒル・ムスタファ-----しかも、いつもよりミョーに散らかってるぜ。

Dr. ムスタファ-----まあ、プレゼントが貰えないんだし、やる気も出ないってことだろうな。

ミドル・ムスタファ-----でも、どこに行ったんですかね?

Dr. ムスタファ-----あれじゃないか。いつもみたいに酒が置いてあったりもしないし、パーティーの準備で唐揚げなんかを買いに行ってるんだろう。

ニヒル・ムスタファ-----唐揚げは先生が食べたいだけだろ。でも、いないってことはそういうことだろうな。

ミドル・ムスタファ-----色々と散らかってるものを端に寄せてから、座って待ちましょうか。

ニヒル・ムスタファ-----そうだな。


 とりあえずLittle Mustaphaが戻ってくるのを待つことにした一同ですが、何かがおかしいと誰もが思っていました。しかし、それを口に出して言うことはありませんでした。

 こういう状況の時に特にその頭脳が活発に動き出すのがマイクロ・ムスタファです。彼はここへ来てから何も喋っていませんが、部屋に入ってきた時から色々なことを分析してきたのかも知れません。


マイクロ・ムスタファ-----あの、ちょっと良いですか…。


 いつもの感じでマイクロ・ムスタファが口を開きました。他の主要メンバー達もこの部屋の雰囲気にソワソワした気分になっていたので、マイクロ・ムスタファが発言するのを待っていたような感じもありました。

 でもせっかくマイクロ・ムスタファが話し始めようとしたのに、ここで思わぬことが起こりました。Little Mustaphaの部屋にあった留守番電話機の着信音が鳴り始めたのです。着信音はタダの電子音ではなくて、なぜか「続・夕陽のガンマン」の曲でした。


 ここで電話が鳴るとは思っていなかったので、メンバー全員がビクッとなったのですが、お互いにビクッとなったことには気付かないフリをしながら電話を見つめていました。


ミドル・ムスタファ-----これって、誰からでしょうね?

Dr. ムスタファ-----Little Mustaphaかも知れないが。

ニヒル・ムスタファ-----Little Mustaphaなら自分の家に電話しないだろう。オレ達に用があるならオレ達のスマホに連絡が入ると思うんだが。

ミドル・ムスタファ-----そんなことを言ってる間に曲が盛り上がって来ましたけど。なんだか怖くなってきましたよ。

マイクロ・ムスタファ-----出てみた方が良いんじゃないでしょうか。

Dr. ムスタファ-----まあ、出だしからいきなり恐ろしい電話なんてことはないだろうからな。

ミドル・ムスタファ-----じゃあ、私が代表して電話のボタンを押しましょう。イイですね?

 パーティーが始まる前から謎の電話がかかってきたりして、怪しい雰囲気になってきました。今年のクリスマスはどうなってしまうのでしょうか?